近年、ベンダーによるソフトウェアライセンス監査が増加している。対処する手段として、企業はソフトウェアライセンスの利用実態を正確に捕捉し、ソフトウェアライセンス最適化に向けた運用を始めるべきである。また、将来のソフトウェアライセンス需要を予測することがソフトウェア資産管理の中期計画を策定するうえで有効となる。
ソフトウェア資産管理とは
ソフトウェア資産管理とは、IT資産のうち、ソフトウェアのライセンスを扱った運用・管理を指す。IT支出におけるソフトウェア資産関連費用は「ソフトウェア購入費」「ソフトウェア利用費」「ソフトウェア保守費」の合計であり、ITRが調査したIT支出に関する調査結果の内訳を見ると、IT支出全体の約2割強を占めていた。ITコスト抑制の施策が常に求められるなか、コスト抑制が可能なソフトウェアライセンスの最適化は、企業の投資意欲も高く、サービスの新規導入が進む分野のひとつと見ている。
出典:ITR 「国内におけるソフトウェアライセンス監査実態調査」 (2016年4月)
しかし、企業の資産管理担当者からは、ソフトウェア資産管理の高度化に苦慮している声がよく聞かれる。そこで、ITRは2016年4月に年間売上規模5,000億円以上の国内企業に所属するソフトウェア資産管理者を対象に「ソフトウェア資産管理の課題」を問うた。調査結果では、多くの担当者が「ライセンス体系の理解」(35.4%)や「購買契約交渉」(35.4%)「ライセンスの全社共有」(34.2%)を課題ととらえていることが明らかとなった(図1)。これは、ベンダーのライセンス体系の複雑化や、企業内でライセンス購入時や包括契約締結時のベンダーとの交渉時のノウハウが蓄積されていないこと、また企業間でライセンス監査の実態について情報共有されていないことなどが背景にあるといえるだろう。