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ITR Review

コンテンツ番号:
R-215111
発刊日:
2015年11月1日

戦略施策としてのソフトウェア資産管理

海外のベストプラクティスを見据えて

著者名:
金谷 敏尊
戦略施策としてのソフトウェア資産管理のロゴ画像

グループワイドでのSAM(ソフトウェア資産管理)は、2020年において大企業に不可欠なIT戦略施策となる。企業は、自社のSAM成熟度を認識し、ソフトウェア・ライセンスの管理と最適化に関する業務を遂行するための具体的なロードマップを描くことが推奨される。

SAMの現状と課題

IT資産管理について、必要最低限の施策はすでに講じていると認識する国内企業のIT部門は少なくない。その背景のひとつには、大半の大手企業が資産調達に際して調達チームを経由するか、あるいは部門調達された購買情報を取得することで、購買データを定期的に捕捉している状況がある。また、資産の稼働状況についても、PC資産管理ツールを用いて自動的にPC・デバイスのインベントリを取集している企業が多い。このように資産の「イン」と「アウト」を把握していることから、ソフトウェア資産についても最低限の管理を行っていると判断しがちである。

しかし、その一方で大企業に求められる管理レベルが急激に高まっていることに対する理解は、十分に進んでいるとはいえない。資産の維持にかかる費用の圧縮は依然として課題であり、ソフトウェア資産に対するベンダーによる監査への対処も大きな問題となっている。今日の管理レベルでは、これらに十分対応することができず、2020年には通用しなくなるであろう。企業のIT部門は、ソフトウェア資産管理に関して新たな課題として主に以下のものを認識する必要がある。

  • 正確な購買情報の把握:資産調達を伴うSI契約やアウトソーシング契約において、費目の内訳がベンダーから能動的に提示されることは少ない。また、要請すれば資産一覧を提示してもらうことはできるが、機器やソフトウェアのコンポーネントの名称を列挙するにとどまる。適切な管理に向けては、型番の情報を取得し、それに基づくエンタイトルメント(使用権)を正確に把握する必要がある。
  • データセンター資産のインベントリ収集:PC・デバイスのインベントリ収集を行うPC資産管理ツールは、国内ベンダーも多く存在し、普及も進んでいる。一方、オンプレミスのサーバ環境、あるいはIaaSやアウトソーシングにおけるサーバ環境については、インベントリ収集が不十分なケースが少なくない。ライセンス体系が日増しに複雑化するなか、サーバOS、DB、ミドルウェア、アプリケーション・パッケージについて、マニュアル作業で正確なインベントリを常時捕捉するのは困難になりつつあり、ツールで自動化することが求められている。
  • ソフトウェア支出の最適化:ソフトウェア関連支出を抑制するには、調達時のベンダー交渉、資産プールからの適切な割当て/再配布、ライセンス違反による追加請求額の抑制、監査対応工数の削減、SAMの自動化といった対策が求められる。「購買情報の正確な把握」と「網羅的なインベントリ収集」によって資産関連情報が整ってはじめて、ソフトウェア支出の最適化に向けた取り組みを開始することができる。

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