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ITR Review

コンテンツ番号:
R-215062
発刊日:
2015年6月1日

勃興する「メールサービス革命」

新サービスの裏で繰り広げられるベンダー間の主導権争い

著者名:
舘野 真人
勃興する「メールサービス革命」のロゴ画像

電子メールは、今日においても最も一般的に利用されているビジネスツールである。さまざまな情報の交換をすべて電子メールで行うことは時代遅れと陰口をたたかれることもある。だが、ここにきて、Google社、Microsoft社、IBM社が相次いで自社のメールサービスに新しい機能を取り込んだ意欲的なクライアント環境を提供している。

メールシステムを巡る大手ベンダーの挑戦

インターネットがビジネスに利用されるようになった1990年代以降、電子メールは最重要のコミュニケーション手段であり続けている。その状況は、チャット/インスタント・メッセンジャー(IM)、ソーシャル・ネットワークといった他の選択肢が存在する現在もなお変わることがない。

しかしながら、メールシステムを巡っては、「メール数の増加によって業務の生産性が失われている」「セキュリティが十分に考慮されていない」といった不満の声を耳にする機会も増えている。メールアドレスさえ分かれば世界中の人々にメッセージやファイルを送信できる手軽さは電子メールの大きな魅力だが、であるがゆえに、スパムやサイバー攻撃、情報漏洩の温床となりやすく、利用者や管理者にとっては頭痛の種ともなっている。

エンドユーザーが利用するメール・クライアントも、ここ十数年大きな進化は見られない。画面の左側に受信/送信ボックスや振り分け用のフォルダ、右上にはメールの差出人とタイトルの一覧、右下にメール本文という「スリーペイン構造」のユーザー・インタフェースも、登場以来ほぼ手つかずの状態といって良い。

このように硬直化しているように見えるメールシステムを巡って、2014年後半から2015初頭にかけて意欲的なサービスが相次いで登場した。主役となっているのは、コラボレーション・ツールの提供で実績あるGoogle、Microsoft、IBMの大手ベンダー3社である。まず先陣を切ったのは、既存のGmailを拡張するモバイル・アプリ「Inbox by Gmail」を2014年10月にリリースしたGoogle社である。続いて、Microsoft社が同年12月にモバイル向けのメール・アプリを提供するAcompli社を2億ドルで買収、それから2ヵ月にも満たない2015年2月には、その機能を吸収したモバイル版「Outlook」の提供を開始した。IBM社も、2014年11月に法人向けに特化したメールサービス「IBM Verse」を発表し、2015年3月末にサービスをスタートさせた(図1)。

図1.新型メールサービスを巡る大手ベンダーの動き

図1.新型メールサービスを巡る大手ベンダーの動き
出典:ITR

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