1990年代中頃からERPやデータウェアハウスが台頭し、電子メールやグループウェアの活用も加速したが、こうした流れにより、ネットワークに繋がれたPCを一人1台保有することが前提となっていった。その後、インターネットの急速な普及により電子商取引(Eコマース)への取り組みが盛んになり、企業内システムにおいてもWeb技術の活用が浸透していった。また、この時代はパッケージ・ソフトウェアの幕開けでもあり、自社またはソフトウェア開発会社に委託して業務システムを構築するか、パッケージを購入するか、すなわち作るか買うか(Make or Buy)の選択を迫られるようになった。
一方現在は、モバイルの普及により一人が複数台のデバイスを持つことが前提となりつつある。そして、クラウドサービスの台頭により、作るか買うか、あるいは使うか(Make,Buy or Use)を考えなければならなくなった。何か新しい事業や業務の遂行のために情報システムが必要になった時、その都度サーバを購入して、アプリケーションを開発または導入し、自前で運用するという方法は、もはや当たり前の選択肢ではなくなりつつあることを意味する。今まさに、時代は大きく動こうとしている。このような技術の大きな転換点に直面している企業の間では、技術の向かう先を正確に予測することは困難であるものの、大転換の先を見通しつつ5年あるいは10年といった長期的な視野を持って企業ITの将来像を描くことが求められる。