昨今、ERPパッケージ・ベンダーは、矢継ぎ早な新バージョンのリリースを控えて、メジャーアップグレードの期間を長めにする傾向にある。トップベンダーのSAP社は、2014年10月14日、ERP、CRM、SCMなどを含むSAP Business Suite 7の保守期限を、2020年から2025年まで延長すると発表したばかりである。多くのベンダーは、8年程度を標準保守期間とし、その後数年は法令対応を含む拡張保守を設定している。さらに、拡張保守が切れても延長保守に対応するベンダーもあるが、延長保守においては新たなバグや法令改正への対応が含まれないことから、導入企業にとって実質10年程度が最長の保守期間となる。しかし、初期導入から10年使い続けられることはまずなく、5年から7年程度を上限にハードウェアの陳腐化や性能不足からアップグレードの検討をする必要に迫られる。多くの企業では、あらかじめアップグレードを見込んだ中長期的な投資計画や十分な予算措置を講じていないこともあり、こうしたアップグレードに際してベンダーから提出される見積りがあまりにも高額であることに驚くことになる。