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ITR Review

コンテンツ番号:
R-214111
発刊日:
2014年11月1日

ERP導入後の選択肢

求められる中長期的な方向性の検討と予算措置

著者名:
浅利 浩一
ERP導入後の選択肢のロゴ画像

ERPパッケージの刷新に際して、高額な維持コストを低減するための選択肢を模索する企業が増えてきている。すでにERPパッケージを導入している企業だけでなく、レガシー刷新などで今後新たに導入する企業においても、ERP導入後の選択肢をあらかじめ明確にしつつ、中長期的な計画を策定しておく必要がある。

企業におけるERPパッケージ刷新の悩み

昨今、ERPパッケージ・ベンダーは、矢継ぎ早な新バージョンのリリースを控えて、メジャーアップグレードの期間を長めにする傾向にある。トップベンダーのSAP社は、2014年10月14日、ERP、CRM、SCMなどを含むSAP Business Suite 7の保守期限を、2020年から2025年まで延長すると発表したばかりである。多くのベンダーは、8年程度を標準保守期間とし、その後数年は法令対応を含む拡張保守を設定している。さらに、拡張保守が切れても延長保守に対応するベンダーもあるが、延長保守においては新たなバグや法令改正への対応が含まれないことから、導入企業にとって実質10年程度が最長の保守期間となる。しかし、初期導入から10年使い続けられることはまずなく、5年から7年程度を上限にハードウェアの陳腐化や性能不足からアップグレードの検討をする必要に迫られる。多くの企業では、あらかじめアップグレードを見込んだ中長期的な投資計画や十分な予算措置を講じていないこともあり、こうしたアップグレードに際してベンダーから提出される見積りがあまりにも高額であることに驚くことになる。

アップグレード費用が高額となる理由はさまざまであるが、最も高額なケースでは初期導入費用と同額かそれに近い金額となることもある。新たな機能追加などを望んでおらず、現状のまま使い続けられればそれでよいと考えている企業では、そのような費用を容認できず、経営トップからの了承も得られないといった問題に直面する。仮に、何とかアップグレード費用を捻出できたとしても、毎年ライセンス費用の15%から20%程度の保守料をこのまま支払い続けるべきかも問題となる。保守料は、バグなどのインシデント対応および法令改正に関する保守サポートと、新機能の提供および新バージョンへのアップグレードが行使できる権利から成っている。保守サポートとアップグレードが一体化しており分離できないため、現状維持を望む企業でも一括の保守料を支払う以外選択肢がなく、5年間で初期導入時のライセンス費用と同額の支払いとなることも不満の原因となっている。

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