企業にとって、業績向上、コスト削減、顧客満足度向上といった普遍のアウトプットを達成するための業務プロセス改革が、今こそ重視される時代となっている。企業は、部分最適や組織の硬直化といった弊害や、改善と改革の対立構造に陥ることなく、アウトプット達成に向けた一体の活動として業務プロセス改革を推進すべできある。
企業における業務プロセス改革への期待と実態
経営を取り巻く環境の変化がかつてないほど激しく、顧客ニーズの多様化と市場のグローバル化が同時進行するなか、多くの企業が、競合他社に対する差別化と競争力の強化を目指している。それらを実現するために、高い付加価値を持つ新たな製品/サービスの迅速な市場への投入、M&Aによるブランドや販売/流通チャネルの獲得、グローバルに展開するビジネスを支えるサプライチェーン能力の強化など、さまざまな取り組みが行われている。
このような競争力強化に向けた取り組みにおいては、従来の業務プロセスを大局的な観点から抜本的に見直すことでパフォーマンスを強化したり、新たな製品/サービスを迅速にデリバリできる業務プロセスを導入することが避けて通れない。他に類を見ない製品やサービスを生み出したとしても、それを顧客に認知してもらうためのマーケティング・プロセスに問題があったり、迅速なデリバリおよび高品質な保守サポートのプロセスが欠如していたりすると、事業および経営の目標達成に寄与できないからである。また、M&Aで経営資源を補強したとしても、業務プロセスにムリやムダが散財したままの状態では、期待する効果を得ることは難しい。自社の業務プロセスのパフォーマンスを競合他社より飛脚的に向上させること、その原動力としてITを効果的に活用して現状の課題をブレイクスルーすることを、経営者は期待している。
しかしながら、現実には、業務プロセスが個々の部門単位での部分最適に閉じてしまい大きな成果を出すことができない、縦割りで硬直化した組織の壁を乗り越えることができないといった、問題を指摘する企業が少なくない(図1)。
出典:ITR