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ITR Review

コンテンツ番号:
R-214041
発刊日:
2014年4月1日

二極化するBYODのアプローチ

活用重視の「積極派」とコスト重視の「消極派」

著者名:
舘野 真人
二極化するBYODのアプローチのロゴ画像

ここ1、2年、企業のモバイル活用に関する話題で必ずといっていいほど話題になるBYOD、その現状をつぶさに見ると、アプローチが大きく分岐しつつある。すなわち、活用促進のためか、はたまた会社で支給ができないためか、ということである。

実は多い会社支給と私物の「併用」型企業

企業におけるスマートデバイスの活用を検討するうえで、BYOD(私物端末の業務利用)の価値を「コスト削減」と捉えている企業のIT担当者は、そうした考え方を見直す必要があるかもしれない。というのも、最近ITRが実施した調査の中で、BYODにまつわる興味深い傾向がいくつか示されたからである。

ITRがJIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)と共同で2014年1月に実施した「企業IT利活用動向調査2014」では、国内企業におけるスマートデバイスの導入状況を調査しているが、スマートフォンについては、「会社支給による導入」を全社員の10%以上で実施している企業の割合は41.6%、「私物端末の業務利用許可」を全社員の10%以上を対象に実施している企業の割合は23.5%であった(図1左)。いずれも前年の調査結果(それぞれ27.3%、17.3%)を上回り、導入が着実に進んでいることが示された。

上述の結果からは、導入率からも前年からの伸び率からも、会社支給による導入が主流となっており、BYODの採用の進展は比較的穏やかであることが読み取れる。しかし、その2つの結果を組み合わせて分析すると興味深い傾向が見えてくる。それは、会社支給端末での導入を実施済みとした企業のうち、実に半数近くがBYODも同時に認めている「併用型」であるということである(図1右)。それに対して、「私物のみ」で活用している企業の割合は5.5%と少数派となっている。今後の検討状況についても同様の傾向が示されており、併用型での運用を試験・計画している企業の割合(9.3%)が、私物のみの活用を試験・計画する企業の割合(3.2%)を大きく上回っている。

図1.スマートフォンの導入状況と導入形態

図1.スマートフォンの導入状況と導入形態
出典:JIPDEC/ITR「企業IT利活用動向調査2014」

すなわち、BYODは、「会社で端末を支給する余裕のない企業がやむなく認める」というような消極的な目的で採用されるのではなく、「会社支給端末を補完し、モバイル活用をより推進する」といった、より積極的な目的で採用されるようになってきていることがうかがえる。ちなみに、前年調査と比較すると、「私物のみの導入」とした割合がまったく伸びていないのに対して、「併用型の導入」は1.5倍近く増加している。

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