現在の広告宣伝の世界ではWebサイトやEメールを利用したインターネット・マーケティングが普及しているが、スマートデバイスやSNSの普及とデータ分析技術の進化によって、マススケールでのOne to Oneマーケティングの可能性が浮上している。そこで登場してきたのがマーケティングの対象者に関するデータを統合管理するプライベートDMP(Data Management Platform)と呼ばれる新たなデータ管理基盤である。
プライベートDMPとは
元々DMPは、広告配信会社や広告媒体会社などの広告事業者が広告主に対して、広告主が望むターゲット対象者をより正確に特定するために、ターゲットに対するさまざまな属性データを統合的に管理するためのデータ管理基盤を意味していた。したがって、DMPを利用するのは広告事業者に限られていた。しかし昨今、DMPの仕組みを利用して、企業が自社で保有している顧客とプロスペクト(見込み客)に関するさまざまな属性データを管理し、広告だけでなくインターネット・マーケティング施策の全体を最適化するためのデータ管理基盤がマーケティング部門で注目され始めている。これは、プライベートDMPと呼ばれており、その基本的な機能を示したのが図1 である。プライベートDMPはデータの収集、統合、分析、分類の4つのプロセスによって構成されている。最終的には客層をいくつかのカテゴリに分類することで、カテゴリに応じたマーケティング施策を実施することが可能となり、その効果を向上させることを目指している。
初期のプライベートDMPはWebマーケティングに特化すると考えられ、最初に行うのは、Webサイトから得られるさまざまなデータを収集するプロセスである。収集の対象となるデータは、自社のWebサイトアクセスデータ、訪問者がどのページをどのような順番で見たかといったWebサイト行動データ、会員制サイトの会員データ、Webショップの購買データ、Web広告に対するクリック数やクリック率などの広告配信データ、自社のソーシャルサイトに対する訪問者IDと投稿内容、そしてソーシャルメディア内での自社や自社商品に関連する投稿内容などが含まれる。
出典:ITR