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ITR Review

コンテンツ番号:
R-214033
発刊日:
2014年3月1日

近未来型の意思決定を支えるIT

オープン化と自動化で意思決定を変革する

著者名:
内山 悟志
近未来型の意思決定を支えるITのロゴ画像

企業の意思決定には大きく2つのタイプがある。1つは新規の取り組みや投資を伴う大きな意思決定であり、もう1つは日々の事業活動の中で行われている小さな意思決定である。これらに対する判断はこれまで会議や管理者の頭の中で下されていたが、今後はITを活用した変革が求められる。

「予測市場」による意思決定のオープン化

ITR Review 2013年6月号「未来型組織を支える企業ITとは」(#R-213065)において次世代の組織運営の形態を示すキーワードとして「トライブ」を紹介した。組織のトライブ化が進むと、従来のピラミッド型の組織階層や指揮命令系統が崩れ、意思決定の手法やプロセスにも高度化が要求されることが予想される。まずは、事業戦略、新規投資、業務変革といった大きな判断を要する案件における意思決定について「予測市場」をキーワードとして掲げて考えてみよう。

「予測市場」とは、ヨーク大学シューリック・スクール・オブ・ビジネスのマーケティング名誉教授で経済学者のドナルド・トンプソン氏が提唱した考えで、経営や事業における意思決定プロセスに、株式市場のような市場原理を取り入れた手法を指している(「普通の人たちを予言者に変える『予測市場』という新戦略」ドナルド・トンプソン著、ダイヤモンド社)。経営者や専門家が将来を決定するのではなく、全ての従業員が投資案件やアイデアを社内の仮想的な市場に起案する。そして、その事案を誰もが売買することができる。予測市場を取り入れた組織では、トップダウン型でなく、現場を知るメンバーの意見を反映したオープンな意思決定が主流となり、株価や市況が変動するように、常に軌道修正を重ねながら戦略や戦術が遂行されるだろう。特に、事業戦略、新規投資、業務変革といった大きな判断を要し、リスクを伴うような大きな意思決定については、縦社会の組織のように上位者が判断し、下位者が従うという指揮命令系統だけでは十分に機能せず、よりオープンな意思決定プロセスを取り入れていくことが求められよう。社内外の誰もが重要案件を起案することができ、その実行の可否や続行・中断の判断にも参加できる。個々の案件の企業における価値や重要性は株価や市況のように変動し、戦略や戦術はウィキペディアの記述を書き換えるようにその時点で最善と思われるものに軌道修正される。

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