ここ数年RDBMSを取り巻く環境は大きく変化した。ビッグデータが注目されるようになり、データ管理プラットフォームにこれまで以上の性能が要求されるようになったことから、RDBMSに比べスケールアウト性能が出しやすいNoSQL製品が台頭した。本レポートでは、主要RDBMSベンダーの最新の製品動向から、今後のRDBMS製品の方向性を分析する。
RDBMSの現状
これまで、会計処理や人事管理のような基幹系アプリケーションだけでなく、コンテンツ管理やデータウェアハウスなどの情報系システムでも、さらにパッケージソフトでも独自開発でも、企業が利用するアプリケーションのデータ管理にはRDBMSが用いられてきた。しかし、GoogleなどのWebサービス事業者が大規模データ処理にRDBMSではなくNoSQLを利用したことから、一時はRDBMSの時代は終わったといった意見も聞かれた。しかし、実際は、NoSQLはOLTP処理に必要なデータ一貫性が不十分であったこと、SQLを装備していないために既存のアプリケーションが利用できないなどの理由から、現在はNoSQLとRDBMSは用途に応じて使い分けるべきであるという意見が一般的となっている。
ITRが2013年3月に発行した「ITR Market View:DBMS/BI市場2013」によると、RDBMS製品の2011年度の国内市場規模は約692億円で、前年度比で6.3%の増加となっており、2011年度から2016年度までのCAGR(年平均成長率)は5.5%と今後も安定的な伸びを予測している。また、ここ数年ベンダー各社が販売に力を入れているDBMSアプライアンス製品に関して、2011年度の国内市場規模は約122億円で、前年度比で21.1%と大きく増加しており、2011年度から2016年度までのCAGRも26.7%と市場を大きく牽引すると予測している(図1)。DBMSアプライアンスが大きく市場を伸ばしている理由としては、NoSQLに対抗してベンダー各社がRDBMSでの大規模データに対する処理性能の向上を目指して機能拡張を行ったこと、ハードウェアも含めてシステム構成が事前に検証されているために、短期間で導入が可能となっている点があげられる。RDBMSは今後も機能拡張を行うことで、企業システムにおけるデータ管理の中心的な位置を堅持するであろう。
出典:ITR「ITR Market View:DBMS/BI市場2013」