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ITR Review

コンテンツ番号:
R-213092
発刊日:
2013年9月1日

システムのデューデリジェンス

迅速なM&Aを支援するデューデリジェンスの実現

著者名:
浅利 浩一
システムのデューデリジェンスのロゴ画像

企業が吸収合併などの事業再編により競争優位を強化する試みは今後も増加するだろう。M&Aでは、海外企業が対象となることも多いため、デューデリジェンスを迅速に実施するための標準的なアプローチをあらかじめ検討しておかねばならない。M&A本来の目的である迅速な事業強化の目的を削ぐことなく、システムのデューデリジェンスを実施するために考慮すべき点について述べる。

システムのデューデリジェンスが重要となってきている背景

日本企業のM&Aは、2000年頃から急激に増えてきており、企業価値の向上や事業および業界再編に迅速に対応する目的で検討する企業が多い。最近でも、ソフトバンクによる米スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)、オリックスによる蘭ラボバンク(RABN.UL)傘下の資産運用会社ロベコ(Robeco)の買収発表などが記憶に新しい。独立系M&A専門会社レコフが公開する最新の統計によると、件数ベースでは日本企業同士のM&Aが依然として多いものの、2006年頃から日本企業による海外企業へのM&Aが金額ベースでは大きくなってきている。これは、日本企業同士のM&Aよりも海外企業のほうが1件あたりの買収金額が大きいことを表しており、それに応じた高いリスクが内在しているといってもよいだろう。さらに、商慣習、企業文化、言語の違いなども考えれば、海外企業のM&Aリスクがより高いことは確かといえよう。

M&Aは、いうまでもなくビジネス優先で決定されることがほとんどである。優秀なシステムを持つことが買収理由となることもなくはないが、その場合も、単にITが最新で情報システムが優れているからでなく、組織力、従業員のスキル、実行力などを総合してシステムが優れると評価されることが多い。いずれにしても、M&Aでは、契約締結後にデューデリジェンスを実施して、買収先の経済的リスク、法的リスク、資産リスク、ITリスクなどを的確に評価したうえで、企業統合を迅速かつ混乱なく進めていくことが重要となる。そして、ITやシステムは、契約締結前の買収理由となることは少ないものの、契約締結後のデューデリジェンスでは、重要性が増し続けてきている。いまや、ITなくして多国・多拠点の経営は成り立たたず、企業統合を迅速に進めるうえでも、どのように経営や事業を統合し再編するかにおいて、欠かせざる検討要素となってきているからである。

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