国内企業の海外進出に伴って、アジア地域でリージョナル・データセンターを保有する動きが強まっている。アジア・パシフィックでは、高い成長率でデータセンター市場が拡大しており、群雄割拠の状況となっている。選定にあたって、各国の市場動向と主要プレーヤーを把握しておくことが求められる。
国内企業のアジア進出とIT投資
製造業を中心に、海外進出に取り組む国内企業が増加している。ITRが実施する「IT投資動向調査2013」(2012年調査)では、海外拠点をすでに設置・運営している企業は約37%であり、準備・検討段階の企業を含めると約47%と半数近くに上ることが明らかとなった。こうした海外進出企業では、当然ながら海外拠点のシステム化やインフラ整備に向けて一定のIT投資が必要となる。その際、国内企業が重視している国は、圧倒的にアジアに集中しており、ITRが2011年に行った調査では、中期的な海外進出先およびIT投資の重点地域として、アジア(中国、ASEAN、インド、その他アジア)の回答率が非常に高いとの結果が出ている(図1)。
出典:ITR「グローバルICT戦略動向調査(2011年)」
アジアに生産拠点や販売拠点を有する企業にとって、グループITガバナンスや標準システムをいかに展開するかは重要課題に他ならない。それらの土台となるネットワークやデータセンターといった最下層のインフラ・アーキテクチャは、IT標準化の展開に影響することから、優先的な検討が求められる。理想的には単一のデータセンターに統合すべきだが、新興国を含む広大なアジア地域ではネットワーク遅延の問題から、複数のデータセンターの保有が現実解となりやすい。そのため、アジア圏を視野に入れ、進出先の国々のユーザーが利用するうえで最適なリージョナル・データセンターのあり方を検討することが求められている。