自社IT基盤の統合と標準化にあたって、仮想化/クラウド技術がもたらす基盤構築の多様な選択肢をどう評価するかは多くの企業にとって課題であったが、ここへきて徐々に解決に向かいつつある。企業は、システム分野ごとにインフラ要求を整理することで、統合効果の高いシステム配置を実現すべきである。
IT基盤の標準化
システム稼働環境としてのIT基盤をいかに標準化するかは、ここ2、3年の間、IT部門の課題であった。しかし、多くの企業がIT基盤の標準化や統合化に向けてクラウドサービスの利用や移行を検討するなかで、いくつかの企業では、システムを仕分けし、適切に配置するための自社基準を設けるに至っている。システム設計時に基盤設計を行い、サイロ型で立ち上げればよかった時代と違い、今は共通基盤の最適化を見据えた検討が求められる。さまざまな基盤方式を見据えて、インフラ要求を多面的に捉えて評価・検証しなければならない。そこで、本稿では、いくつかの先進企業が考えるシステム配置基準を抽象化して、整理することで、求められる評価の視点を考えてみたい。
まず現在、利用可能な主要なIT基盤の形態を7種類あげよう。ここでは、物理環境、物理ホスティング、仮想統合環境、仮想/共用ホスティング、プライベート・クラウド、VPC(仮想プライベート・クラウド)、パブリック・クラウドとする(図1)。現行/新規のシステムを、特定の配置先に全て集約することもあるかもしれないが、通常は特性に応じて複数選択することとなろう。その場合、最も主要な配置先として選択される基盤の収容場所がメインセンターとして位置づけられる。
この最適な配置を行うために、ITRでは、基盤への要求事項を6つの視点から評価することを推奨する。①仮想化適性、②自動化要求、③要件の固有性、④ソーシング方針、⑤クラウド機能要求、⑥法規制リスクがこれにあたる。既存システムを移行する場合は、①から順に評価を開始すればよいだろう。新規システムの構築にあたっては、昨今は非物理環境での例が一般的なため、②から開始して差し支えないと思われる。なお、①、②、③は関連性が深く連続して評価が可能であるが、④、⑤、⑥は独立しているため個別に評価して優先づけすることが求められる。次にこれら6つの各々の評価ポイントを解説しよう。0
出典:ITR