なぜ業務自動化が必要なのか
国内企業の業務自動化の実態はどのようなものか
自動化テクノロジをどのように選ぶべきか
デジタルデータが飛躍的に増大するなか、その処理(デジタルプロセス)の自動化は企業にとって切実な課題となっている。本稿では、国内企業における業務自動化の実態を紹介するとともに、RPAやiPaaSなど、主要な自動化テクノロジの特性を整理しながら、企業が目指すべき自動化の方向性とその環境整備のアプローチを紹介する。
構成
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自動化が求められる背景
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国内企業における業務自動化の実態
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自動化実現に向けたアプローチ
- 結論
業務効率化の主な手段
本稿を書き進めるにあたり、まずは、「業務自動化」が注目される背景について考えたい。業務自動化は、省力化・省人化による生産性の向上や業務のスピード化、品質向上などを目的に実施されるものであるが、これ以外にも、同様の目的を達成するうえで候補となる業務効率化の手段はいくつか存在する。
真っ先に思い浮かぶのが、既存の業務プロセスや制度、さらには情報システムに至るまで、既存の業務の進め方を抜本的に変更する「BPR」であろう。これは、基幹システムの刷新プロジェクトにおいては必ずといってよいほど検討される取り組みであるが、その影響範囲が広範にわたるため、経営トップの明確なコミットメントが必須となる。また、迅速な成果の獲得につながりにくいという面もある。
また、一連の業務プロセスをまとめて専門業者に外部委託する「BPO」も有力な選択肢であるが、外部リソースに任せることができる業務限定的であるという企業は少なくない。また、まとまった単位の業務を外部委託するとなれば、既存の組織体制にも変更が必要となる。
テクノロジを活用する業務効率化の手段としては、「パッケージ/SaaS導入」あるいは「システム開発」が考えられるが、前者は提供される機能と自社の要件が適合しない、後者は費用と期間がかさむという問題がそれぞれ存在する。
このように、それぞれの手段が持つ問題によって、結果的に効率化の対象から取り残されたマニュアル作業が残存しているのが、今日の国内企業の実態であるといえる。これらのマニュアル作業の効率化へ向けて、業務自動化への期待が高まっている。