進展するクラウド化とソリューションの強化の動向とは
システム化構想における留意点は何か
いかにして基幹システムのクラウド化に備えるべきか
国内でクラウドERPの導入が始まってから5年以上が経過し、市場にある製品・サービスも進化してきている。国内企業のクラウド利用の方針も大きく変化してきているが、システム化構想からRFP、そして導入後の体制づくりにおいて、新たな取り組みが求められる。企業は、旧態を打破しつつ次世代システムの導入を推進していくべきである。
構成
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クラウド化とソリューションの強化の動向
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システム化構想における留意点
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基幹システムのクラウド化への備え
- 結論
エンタープライズシステムの構築方式
出典:ITR『エンタープライズシステム動向調査』(2021年7〜8月・2019年9月調査)
はじめに、ITRが2021年7月から8月にかけて実施した『エンタープライズシステム動向調査』から、国内企業がエンタープライズシステムをどのような方式で構築しているかを約2年前(2019年9月)の状況と比較して紹介する。なお、「わからない」「システム化していない」という回答は除外して集計した。設問の「全社共通系」は、メール、グループウェア、オフィスソフトなど組織横断的に利用するツールやシステムを指す。
インフラ系やアナリティクス系を除いたこれらの7分野全てにおいて、「全面的にスクラッチ開発・所有」「部分的にスクラッチ開発・所有」を合算した割合は、2019年の状況に比べ減少しており、「部分的に製品やクラウドサービスを利用」「全面的に製品やクラウドサービスを利用」の割合が増えていることが確認できる。全面的および部分的スクラッチ開発・所有の合計が最も減少したのは「新規分野」、次いで「本社(人事管理)」である。この調査では、パッケージ製品とクラウドサービスのどちらを利用しているのかは確認していないが、国内のERP市場における最近のクラウドの進展を見ると、SaaSあるいはパッケージ製品をパブリッククラウド(IaaS)上で動作させる方式が増えたと推定できる。
国内経済の低成長下においても、コロナ禍にあるこの2年間で、企業は基幹系システムの脱レガシー化を大きく進めつつ、基幹系システムのクラウド化に向けた投資を抑制することなく実行に移した、とITRでは見ている。