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【I-320101_6963142401】デジタル時代の組織カルチャー

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 27, 2023 6:46:48 AM
デジタルが浸透した社会の到来は何を意味するのか
デジタル化する社会に適応するために求められる組織カルチャーとは
組織カルチャーの変革に向けたアプローチとは

デジタル化が浸透した社会へのシフトが急速に進むなか、企業は自社の存在価値を問い直すとともに、新たな世界観に適応し続けられる組織カルチャーを手に入れなければならない。本稿では、デジタル時代に目指すべき組織カルチャーとその実現に向けた企業の変革のための施策について考察する。

COVID-19で疑似体験したアフターデジタル

緊急事態宣言が発令された2020年春、多くのビジネスパーソンがこれまでにない経験をしたことで、会社、仕事、生活のあり方について、あらためて考えさせられたのではないだろうか。

これまでの世界観では、リアル(店舗や対面)で接点を持つ人が、たまにデジタル(EコマースやSNS)でもつながるというのが一般的な考え方であった。しかし、モバイルやIoTの浸透によってあらゆるデータが捕捉可能となり、リアルの世界がデジタルの世界に包含されるようになった。書籍『アフターデジタル』(藤井保文・尾原和啓著、日経BP社)では、このような世界をアフターデジタルと呼び、デジタルで常に接点があることを前提とし、リアルな接触はそのなかの特別な体験の一部となると説明している(ITR Insight 2020年冬号「デジタル時代に求められる企業像の再定義」#I-320011)。これは企業と顧客の接点のみを指すものではない。バリューチェーンやエコシステム内の企業間の取引、生産活動を含む企業内の業務プロセス、人の移動や物流など、あらゆる社会的・経済的活動がデジタルでつながることを前提とし、リアルなやり取りや業務はそのつながりの一部になるということである。

COVID-19の影響による外出自粛でバーチャルでの会議参加が当たり前のものとなり、実際に対面することが特別な体験の一部であるということを経験した人も少なくないだろう。これは、多くのビジネスパーソンがアフターデジタルの世界観を疑似体験したことを意味する(ITR Review 2020年6月号「アフターコロナにおけるDX」#R-220061)