オープンソースに注目が集まる背景はどのようなものか
オープンソースの歴史と定義は何か
オープンソースの特徴と活用のポイントは何か
Google社、Apple社、Facebook社、Amazon.com社といった世界の先端を走る企業の多くは、オープンソースを積極的に活用し、自社でもオープンソースを開発/公開し、エコシステムの拡大を図っている。これに対して、国内企業ではオープンソースの活用が遅れているが、ビジネス競争に打ち勝つうえでも、効果的に活用することが必要である。企業は、オープンソースに対する戦略を明確化し、パートナー企業の適切な選定や自社要員の教育/調達を推進するべきである。
構成
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オープンソースに注目が集まる背景
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オープンソースの歴史と定義
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オープンソースの特徴と活用のポイント
- 結論
オープンソース・ソフトウェア再注目の理由
オープンソース・ソフトウェア(以降、「オープンソース」)は2000年代に大きな注目を集めた。当時は、オープンソースの多くが無償または極めて安価に提供されていたため、コスト削減を期待する企業がほとんどであった。ITR Review 2009年12月号「主役に躍り出たオープンソース・ソフトウェア」(#R-209124)でも、コスト削減効果を中心にオープンソースに対する論考を行っていた。
デジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションへの注目度が高まっている現代においては、AI、ブロックチェーン、5Gといった先進テクノロジに対して大きな期待が寄せられている。先進テクノロジの多くはオープンソース・コミュニティから発展しており、オープンソースがデジタライゼーションを牽引しているといっても過言ではない。
テクノロジを駆使して創造的なビジネスを確立したGoogle社、Apple社、Facebook社、Amazon.com社を総称して「GAFA」と呼ぶが、その特徴はオープンソースをフル活用していることにある。利用者数やシステムリソース規模で価格が決まる商用ソフトウェアを利用していては、グローバルスケールで大規模のユーザーを扱うシステムは構築できない。また、先進的な機能をいち早く活用するために、オープンソース活用を選択したのである。
いまやありとあらゆる製品・ソフトウェアはオープンソースを利用しており、利用していない商用製品を見つけるほうが難しい。オープンソースが至る所で活用されるようになったことで、関連するセキュリティ事故や知的財産権を巡った争いも頻発しており、注目度はますます高まっている。