IoT市場の現状と展望をどのように評価すべきか
国内企業において、IoTはどのように活用されているのか
今後、企業はIoTをどのように推進すべきか
IoT市場には多種の技術が存在し、適用される産業分野も多岐に及ぶ。本稿では、市場把握の一助として2017年に実施したIoT投資実態調査の結果を紹介し、企業のIoT推進のポイントについて考察する。
構成
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IoT市場の現状と展望
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IoT市場動向
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求められる推進アプローチ
- 結論
IoTへの投資意欲の高まり
出典:ITR「国内IT投資動向調査2018」
IoTはここ数年で非常に速いスピードで市場に浸透し、世界的な潮流となった。これには、IoTソリューションの供給者であるベンダーやサプライヤーが積極的に需要喚起したこともあるが、需要者であるユーザー企業における関心が非常な勢いで高まったことが背景にあるといってよい。国内市場においてもユーザー企業の投資意欲の高まりは著しい。ITRが、毎年実施するIT投資動向調査では、約100項目の技術用語について導入状況と投資状況を調査しており、インフラ/デバイス分野ではIoTを含む約30項目を対象としている。縦軸は、すでに導入する企業における投資額の増減を指数化したものだ。一方、横軸は未導入企業が新たに導入する可能性を表している。つまり、より右上にプロットされるものは投資額が増え市場の裾野も拡大することから、投資意欲が高い領域となる。
IoTを調査対象に加えた2015年の調査では、図の中心にプロットされた。その後、IoTは2年連続で右上にシフトし、2017年調査では、図に示すように、投資増減指数、新規導入可能性とも突出して高い値を示す結果となった。昨今のIoTの投資意欲の高まりはピークに達していると見られる。今後、多くのビジネスマネージャーがIoTに関する方針化や意思決定の機会に直面することになると予想される。