デジタル化を目指す企業はどのような状況にあるのか
デジタルビジネスの収益化にはどのような方式があるのか
収益化へ向けていかにアプローチすべきか
あらゆる産業において、企業はデジタルビジネスへのコミットメントと、新たなビジネスモデルへの転換を迫られている。デジタライゼーションは、単に効率化や差別化を導くだけでなく、収益化こそが期待される価値であり、今後の課題となる。
構成
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デジタル・カンパニーへの遷移
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収益化モデルの類型
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収益化へ向けたアプローチ
- 結論
グローバル企業に見られる方針転換
デジタル技術の適用による社会レベルでの変革であるデジタル・トランスフォーメーションが急速に進みつつある。この巨大な波を前に、企業においてもデジタル技術をビジネスに取り込み、大幅に経営方針を転換する例が見られる。グローバル企業においてこの動きは顕著であり、GE社、Cisco Systems社をはじめとして、大手製造業を中心に多くの経営者がデジタルビジネスへのコミットメントを表明している。また、台頭するスタートアップ企業もAIやIoTといったデジタル技術の一端を担ったり、デジタルならではのビジネスモデルを具現化したりする企業が数多い。産業リサーチのアナリストファームであるFrost & Sullivan社、あるいはマーク・アンドリーセン氏のようにIT業界に強い影響力を持つ専門家は一様に、あらゆる企業はデジタルカンパニーへ転身するべきであるとして、警鐘を鳴らしている。
グローバル企業の動向が、将来のデジタル社会の基盤を形成し、産業界のエコシステムを大きく変化させるであろうことは間違いない。こうした市場環境のなか、国内企業においてもデジタライゼーションの波を捉えて、イノベーションや新ビジネス創生を推進する傾向にある。しかし、その多くはモノ売りを中心とした既存ビジネスの延長線上で効率化や差別化を導くにとどまり、デジタルビジネスによる収益化には至っていない。そこで、本稿ではビジネスモデルのタイプを整理し、収益確保と事業成長を導くためのアプローチについて考えてみたい。