人工知能の現状とは
人工知能がもたらすビジネス環境の変化とは
どのようなビジネス活用の可能性があるのか
1980年代に第五世代コンピュータで注目された人工知能が再び注目されている。実際にクラウドサービスとして機械学習が提供され、企業での利用事例の報告も増えている。本稿では、人工知能に関する動向や先進事例を紹介し、今後のビジネス利用の可能性を整理する。
構成
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人工知能の現状
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人工知能によるビジネス環境の変化
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人工知能のビジネス活用の可能性
- 結論
人工知能の歴史
人工知能は最近のものではなく、50年以上研究され続けている。日本では1980年代に第五世代コンピュータがブームとなったが、その起源は1956年に当時ダートマス大学のJohn McCarthy助教授が人工知能に関する世界初の国際会議(後にダートマス会議と呼ばれる)を主催したことまで遡る。同会議で、Artificial Intelligence(AI)つまり人工知能という言葉が使われた。第一期のAIはルールをベースに推論や探索を行う事で簡単なパズルを解くことはできたが、人間のように多数の条件や例外を含む複雑な問題を解くことはできず、人工知能への期待は薄れた。
その後、第二期では人間のナレッジ(知識)をロジック化し、統計解析や確率論を用いて選択する方式によって、複雑な問題に対応できるのではないかと期待が持たれた。日本では第五世代コンピュータとして通商産業省(現経済産業省)が国家プロジェクトを立ち上げた。しかし、人間が知識をルールやロジックに置き換えて与えなければならず、特定のエキスパートシステムの開発には成功したが、知識をコンピュータが理解するように体系化することは難しく、人工知能の開発に対する悲観論が広がった。
そして、現在、第三期では、膨大なデータと機械学習のひとつの手法であるディープラーニングによって、自己学習を繰り返し、物事の差異を判断して特徴を見つけ出す精度が向上している。これにより、これまでの課題を克服できる可能性が出てきたことで、人工知能が再び注目され始めている。