ITアウトソーシングを採用する企業は、適正な効果を得られているのか
どのようにしてソーシング戦略を策定すべきか
いかなるベンダー・マネジメントを実施すべきか
ITアウトソーシングは歴史が長く、いまなお採用企業は増えつつあるが、必ずしも高い満足をもたらしていない。本稿では、ソーシング戦略とベンダー・マネジメントに着眼し、アウトソーシングを再考するためのヒントと留意点を提示する。
構成
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アウトソーシングの現状と課題
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ソーシング戦略の留意点
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ベンダー・マネジメントの留意点
- 結論
アウトソーシングの需要動向
出典:ITR 「IT投資動向調査」2005~2014
ITアウトソーシングは、外部のITベンダーから経営資源を補完的に調達する手法として、1980年代より米国を中心に普及した。以来、ITアウトソーシング市場は比較的安定して拡大してきており、今なおその傾向は続いている。では、国内市場におけるアウトソーシングの需要動向はどうだろうか。図は過去10年間にわたってアウトソーシングの投資意欲を調査した結果を示したものである。アウトソーシングの導入企業については、各調査年の支出が前年度と比べてどのように増減しているか(20%以上の増加、20%未満の増加、横ばい、減少)を示している。「計画なし」は未導入の企業となる。
これを見ると、年次での若干の増減はあるものの確実に導入企業は増加してきており、現在おおよそ7割の企業がアウトソーシングを採用している。また、「増加(20%以上、20%未満)」と「減少」の割合を見ると、全ての年次において増加とする回答割合が上回っている。個々の企業におけるアウトソーシングへの投資意欲も高まる傾向にあるようだ。総じて、アウトソーシングが企業ITに及ぼす影響は、今後大きくなると考えられる。
それでは、具体的にどの業務分野がいかなる委託先に任される傾向にあるのだろうか。続いて、より業務を細分化して需要動向を見てみよう。