ITR Insight

コンテンツ番号:
I-313041
発刊日:
2013年4月1日

IT-ROIの算定

著者名:
金谷 敏尊
IT-ROIの算定のロゴ画像
ITのコスト評価はどのように行われているのか
経済的価値を算定する評価のあり方とはどのようなものか
ROI評価が向かない案件にどう対処すべきか

IT投資やコスト節減にあたって、より経済合理性の高いソリューションの採択が以前にも増して期待されている。企業は合理的なIT支出へ向けて、IT-ROIの計測・評価を行うことが求められている。本稿では、更新・改善フェーズの投資案件のROI、ならびに評価が不向きな案件への対処方法について述べる。 

ITコストへの要求

ITコストへの要求

依然として厳しい経営環境が続くなかで、ITコストの節減に対する要求は一段と厳しさを増している。また、CIOは、ITが企業経営に及ぼす影響をこれまで以上に慎重に把握しなければならなくなってきている。本稿では、まず、今日の企業でITコストに対してどのようなことが求められているかを見ていく。そのうえで、コスト評価に基づくROIの算定手法について解説することとしよう。

ITコストは、「戦略投資」と「定常費用」に分けられる。IT戦略投資は、プロジェクトなど事業部門やIT部門が発案する投資案件に紐づいたIT投資であり、業績、景気、事業方針といった環境変化に応じて投資規模は変動する。企業の持続的成長のためには投資が必要とはいえ、厳しい経済環境下では一層の確実性や目に見える効果が不可欠だ。このため、IT投資案件はこれまでになく厳しく評価され、取捨選択される傾向にある。

一方で、定常費用は、過去に行った戦略投資により構築されたシステムの現状維持コストであり、環境変化によらず固定的に発生する。近年、定常費用はIT予算の大部分を占め、2012年に実施した「IT投資動向調査2013」でも62%との結果がでている。定常費用の節減効果は長きにわたり持続するので、IT部門の多くが不断に見直しを行っているのが現状である。さらには、十分といえない戦略投資に振り向けるために、定常費用の削減によって投資余力を得ようとする動きも見られる。

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