Webアプリケーション・フレームワークは、技術的要素だけでなく、将来性や自社環境との整合性を考慮し、中長期的な視野で選定すべきである。本稿では、代表的なフレームワークを複数の観点で比較しながら、選定における重要ポイントを示す。
代表的なWebアプリケーション・フレームワークの比較
近年、デジタルテクノロジの進化のスピードが増しているが、Webアプリケーション分野も同様である。特に、Webアプリケーション開発のためのフレームワークは非常に多岐にわたり、流行の移り変わりも激しい。全てのフレームワークをあげることは非現実的なため、図1に国内で比較的よく利用されているWebアプリケーション・フレームワークをあげ、公開情報を基にITRが相対的に評価した結果をまとめた。比較項目の概要は、以下のとおりである。
- 世界/日本シェア:図1のフレームワークは全てOSSであることから、採用企業数/開発エンジニア数を評価した。
- 長期保守:機能追加やバグ修正などに対するコミュニティの活発さを評価した。国内の大企業の多くは5年以上の運用を希望するため、フレームワークの保守が将来も継続的に行われる見込みがあるかを加味して評価した。
- セキュリティ対応:脆弱性への対応速度を評価した。CVE(Common Vulnerabilities and Exposures:共通脆弱性識別子)データベース、GitHub Issue/PRの動き、セキュリティパッチのリリース実績などを参考にしている。
- モダンアーキテクチャ対応:マイクロサービスやAPI連携による疎結合アーキテクチャといったモダンなアーキテクチャへの適応可能性を評価した。
- 国内人材確保:国内においてそのフレームワークに実践的に対応できるエンジニア数を評価した。
開発活発度:新規機能追加やアーキテクチャ変更などの将来を見越した開発の活発度を評価した。具体的には、メジャーバージョンアップの頻度などを評価した。
- コミュニティ:開発コミュニティの参加者数や発言数/頻度などを評価した。
- 将来性:上記の評価結果を総合的に見て、5年以上の継続性を有しているかを評価した。
○:良い △:中程度 ×:悪い
*フレームワークのアルファベット順
出典:ITRおよび公開情報