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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225061
発刊日:
2025年6月2日

有望市場の開拓に向けた市場評価

市場魅力度を評価する4つのステップ

著者名:
金谷 敏尊
有望市場の開拓に向けた市場評価のロゴ画像

企業がビジネスの維持と拡大へ向けて既存市場の深耕や新規市場の開拓を検討する際には、候補となる市場の魅力度を評価し、ターゲット市場を選定したうえで事業ポートフォリオを構成することが重要となる。本稿では、主にITビジネスを手掛ける一般企業やITベンダーが、市場魅力度を評価する際に活用できる、市場定義、適合性評価、市場分析、業界分析の4つのステップとそれぞれのポイントを解説する。

市場評価が求められる背景

企業目標を達成するには、経営資源の最適配分と将来へ向けた投資が不可欠であり、これらは企業経営の中核的な機能といえる。今日の厳しい競争環境のなかでは、既存事業の現状維持を図るだけでは不十分であり、既存事業のシェア拡大に向けた市場浸透を図りつつ、新規の製品・サービスを開発したり、新規市場にアプローチしたりすることが不可欠である。そのためには、どの製品・サービス分野を開発すべきか、どの市場にアプローチすべきかのビジョンを描くことが求められる。

自社の理想像についてビジョンを明確化することで、ビジネスドメインを拡張し、事業拡大を実現している企業は少なくない。例えば、ServiceNow社は、もともとITサービス管理ツールベンダーであったが、強みであるワークフローエンジンのビジネス対象を、IT部門にとどまらず、総務部門や人事部門などバックオフィス全般へと拡大した。さらに、ツール開発で培った開発プラットフォームを商品化することで、ローコード/ノーコード開発市場にも参入し、成功を収めている。また、Amazon社も、オンライン書店として創業後、”Everything Store”を標榜し、Eコマースプラットフォームとして急成長を遂げた。その後、「価格の安さ」「品揃えの豊富さ」「利便性の高さ」をITインフラ領域に拡張することで、Amazon Web Services(AWS)を立ち上げ、IT業界の構造そのものも変革した。

さて、企業は既存事業に軸足を置きつつも、新規投資によって事業の拡張を狙うことが求められている。しかし、今日の産業・市場は、かつて類を見ないほどに細分化されており、製品動向や技術環境の変化が著しく、それだけに個々の市場の行く末を的確に見通すことは容易ではない。とりわけIT市場は、昨今の生成AIブームに象徴されるように、市場の動向が特に著しく変化している。そのため、ビジネス環境の現状と将来を的確に把握し、ターゲット市場を明確化することは重要な戦略的アプローチとなる。本稿では、市場の有望性を判別するための市場評価ステップを考察し、そのあるべき姿を示す。

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