1. TOP
  2. レポート・ライブラリ
  3. クラウド型連携基盤による企業間データ連携の再設計 - 変化に強いサプライチェーンを実現する仮想的統合の考え方 -


ITR Review

コンテンツ番号:
R-225056
発刊日:
2025年5月14日

クラウド型連携基盤による企業間データ連携の再設計

変化に強いサプライチェーンを実現する仮想的統合の考え方

著者名:
水野 慎也
クラウド型連携基盤による企業間データ連携の再設計のロゴ画像

サプライチェーンの複雑化と不確実性が高まるなか、企業間におけるリアルタイムなデータ連携は競争力の鍵を握る。本稿では、先行事例に基づく企業間データ連携サービスを紹介しつつ、iPaaSを活用したデータ連携の課題と、その対応策となる「ファブリック」なデータ連携について考察する。

サプライチェーン管理におけるデータの重要性

近年、サプライチェーンの管理はかつてないほどに複雑化しており、多様化するビジネスニーズに応えるためには、製造・物流・販売などの各状況をリアルタイムで可視化できるサプライチェーン関連システムの整備が求められる。例えば、需要の増減やロケーション別の在庫量をはじめ、製造キャパシティや供給制約(設備トラブルや人員不足など)、輸配送のリードタイムやリソース状況(ドライバーの欠員、倉庫のキャパシティ超過や余剰)の把握などがそれに当たる。急激な変動を把握して迅速に対応できなければ、欠品による販売機会の損失や、過剰在庫によるコスト増といったリスクが生じる。たとえ対応できたとしても、緊急的なリソース確保には高いコスト負担が伴うため、事業の収益性を圧迫する要因となることが予想される。つまり、裏を返せば、サプライチェーン全体の状況を事前に把握できれば、リスクを未然に回避することが可能であり、効率やコスト面でメリットをもたらす。したがって、企業間で共有されるリアルタイムデータの質と、連携基盤の柔軟性こそが、今後のサプライチェーンの競争力を左右する。

サプライチェーン管理におけるデータは単なる情報の記録ではなく、企業の意思決定と競争優位の源泉である。とりわけ、サプライチェーンは複数企業をまたいで構成されるため、企業間のデータ連携基盤の整備が不可欠である。各社が個別最適で情報を保有するのではなく、全体最適に向けたデータの統合と共有こそが、次世代のサプライチェーン戦略の中核となる。

ITR 著作物の引用について

ITRでは著作物の利用に関してガイドラインを設けています。 ITRの著作物を「社外利用」される場合は、一部のコンテンツを除き、事前にITRの利用許諾が必要となります。 コンテンツごとに利用条件や出典の記載方法が異なりますので、詳細および申請については『ITR著作物の引用ポリシー』をご確認ください。

TOP