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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225031
発刊日:
2025年3月4日

エンタープライズシステムの設計法則

AIが学習できないシステムの分割配置と上流設計

著者名:
浅利 浩一
エンタープライズシステムの設計法則のロゴ画像

生成AIの登場によってテキストや画像の生成を行う用途が普及しているが、いまや高度な意思決定に基づく指示の実行や未知の事象に伴う例外処理の自動対応といった、自律的なアクションを生成・統制するAIエージェントに期待が集まっている。AIは、エンタープライズシステムそのものを置き換える可能性を秘めているといっても過言ではない。しかし、当面の間、エンタープライズシステムの設計は人間が担う領域であり、設計のノウハウは次世代に継承していくべきである。

AI技術の進化と革新

2022年11月にOpenAI社がChatGPTを一般公開して以降、生成AIサービスとその土台となるLLM(大規模言語モデル)などの基盤モデルの能力の高さは、一般にも広く知れ渡った。それからわずか2年足らずで、AI技術は急激な進歩を遂げてきている。プロンプトに対して応答し、与えられた命題に対してテキスト、画像、動画などのコンテンツを生成する初期の生成AIの実体は、強化されたチャットボットであった。だが、ほどなくプログラミングや医療診断など特定の専門領域の作業や意思決定を代行するといった能力が、LLMの高度化により同時進行的に向上している。さらに、2024年後半以降、より幅広いタスクや人間の意思決定の代行に対応できる技術として、LLMを活用した自律型のAIエージェントに大きな注目が集まっている(ITR Review 『生成AIがもたらす業務自動化の進展』R-224126)。

AI技術は、LLMに続いて、AIエージェントの実装により新たな革命を迎えつつあるといってよいだろう。LLMが革新的だったのは、「教師なし学習」と呼ばれる手法を用いて言語理解を形成できることである。LLMは、何千億もの単語やフレーズの組み合わせの手本を正解のラベル付けで提供しなくても、言語を分解してフレーズの中の出現回数を推論しながら「教師なし学習」できる点が従来の機械学習モデルと大きく異なる。つまり、LLMは人間によるアノテーションを必須とせず、大量のコンテンツを素材として集めて学習させることができれば、入力文に続く文を予測して対応できる優秀なAIといえるだろう(図1)。

図1.AI技術と学習モデル

図1.AI技術と学習モデル
出典:ITR

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