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ITR Review

コンテンツ番号:
R-225013
発刊日:
2025年1月9日

システム技術者の安定的確保に向けて(前編)

外部システム技術者不足を補う内部人材活用の拡充策

著者名:
水野 慎也
システム技術者の安定的確保に向けて(前編)のロゴ画像

システムエンジニア(以下、SE)の需要が増加する一方で、企業のDXの取り組みはAIの活用を受け加速する傾向にある。本稿では、ITRが実施した『システム技術者の契約単価および需要動向に関する調査』(2024年6月調査、以下『SE単価調査』)の結果を基に、内部人材の拡充を前提としたIT組織戦略の重要性を提言する。

困難な状況が続く外部人材調達

ITRが毎年実施している『IT投資動向調査2025』によると、DX関連予算を計上している企業は8割を超え、またその推進体制やプロセスの整備に力を注ぐ企業は増加傾向にあることがわかった。生成AI活用の拡大が、DX推進の新たなきっかけとなり、DXの取り組みにも影響を与えたとみられる。しかし、そのDXプロジェクトを推進するシステム技術者については、確保が困難な状況であることがうかがえる。

ITRの『SE単価調査』によると、システム技術者の需要が増加したと回答した企業の割合は年々増加しており、2024年6月の調査では8割を超えた(ITR Review『ITR User View:システム技術者の契約単価と需要動向』R-22411U)。では、その需要の増加に対しシステム技術者を確保できているかどうかを見ると、調査対象としたPM(プロジェクトマネージャー)やSEなど8職種のうち、SE(上級)とSE(中級)の2職種は「確保できていない(「ほとんど人員を確保できていない」と「あまり人員を確保できていない」の合計)」とした企業が半数を超え、他6職種についても4割以上に上った。

そして、その確保が困難な状況は、デジタル化の注力度によってさらに深刻度を増すことが、調査結果からわかった。『SE単価調査』ではシステム技術者の需要の要因を問うたが、トップは「DXプロジェクトの推進」で、56%の企業が要因にあげた。図1は、職種別にシステム技術者が「確保できていない」とした企業全体の割合と、そのなかで、需要増加の要因に「DXプロジェクトの推進」をあげた企業を対象にした場合の同回答割合を比較している。その結果、SE(上級)では両者に7ポイントの差があった。他にも、コンサルタント、SE(中級)、PMでも3、4ポイントの差が見られ、DXを推進するうえでより高度な技術を求められるシステム技術者は、確保がより困難であることが読み取れる。

図1.職種別のシステム技術者が確保できていない企業の割合

図1.職種別のシステム技術者が確保できていない企業の割合
出典:ITR『システム技術者の契約単価および需要動向に関する調査』(2024年6月調査)

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