生成AIの登場によってその可能性が切り拓かれつつある領域のひとつに、オートメーションがあげられる。従来から存在するRPAのコンセプトに、特定の役割を担うAIエージェントを採用して動的かつ自律的な自動化環境の実現を目指すAPA(Agentic Process Automation)は、自動化のレベルや適用範囲を拡大する可能性を秘めている。
AIと業務自動化の関係
業務自動化の実現に対する国内企業の関心は、近年一貫して高水準で推移している。ITRが実施した『IT投資動向調査2025』によれば、「業務の自動化」に取り組む国内企業の割合は42%と半数近くに上っている。これは、16のDXテーマのうち2番目に高い水準であり、自動化が企業のデジタル化戦略の中核的な取り組みであることを示している。
自動化の実装手段として最も一般的なツールであるRPAは、かつてのようなブームは沈静化しているように見えるが、実のところ、その導入率は着実に伸びている。最新の調査結果では、国内企業の導入率(「わからない」の回答を除外した場合)は38%であり、5年前と比較すると1.5倍以上の水準である。
2010年代半ば以降に注目されるようになったRPAの進化は、AI技術によるインテリジェント化と不可分である。あらかじめ定められたルールに従い、ユーザーインタフェース上で行われるソフトウェア操作を代行するというのがRPAの基本原理だが、そこにAI技術を取り入れることにより、段階的に機能拡張が図られてきた。そうしたインテリジェント化の動きが、生成AIの登場によって、一気に加速しようとしている。RPAを導入済みの企業や、新規導入を検討する企業は、利用(検討)している製品がAI技術をどのように取り入れ、どのような付加価値を提供しようとしているかをあらためて評価することが推奨される。