ITR Review
イノベーション創出に向けた組織運営の選択肢
デジタルが浸透し、AIが前提となる時代においては、イノベーションによる新たな価値創出に向けて環境を整備し、組織能力を向上することが期待される。このような時代に求められる組織デザインを考えるにあたって、参考になる組織モデルとして社内DAOの可能性について考える。
技術革新が著しく不確実性が高い時代においては、多様な知識や能力を持った社内外の複数の人材が知恵を持ち寄り、互いに意見をぶつけ合いながらアイデアを創出し、実現に向けてイノベーションの種を育てていくことが求められる。このような時代において、イノベーションの創出を促進する組織運営の選択肢としてクラスタ型組織が考えられるが、その実現にはブロックチェーン上で管理・運営される分散型自律組織(DAO:Decentralized Autonomous Organization)の考え方を取り入れることが有効である(ITR Insight『AIコンバージェンス時代の組織デザイン』I-324091)。DAOは、もともとは暗号資産のビットコインの仕組みを踏襲した組織デザインのモデルであり、次世代型インターネット「Web3」を見据えた組織形態として注目されている。特定の所有者や管理者が存在せずとも、事業やプロジェクトを推進できる組織であり、インターネットを介して参加者が主体的に共同管理・運営していく組織を指す。
一方、DAOは、単一または少数の目的を持つ継続型もしくはプロジェクト型の事業運営には向いているが、複合的な目的と既存の運営プロセスを持つ従来の企業組織をDAOに作り替えることは非常に困難といわれている。そこで、ITRでは将来に向けた組織変革の第一歩として、まずはデジタル技術を活用した新規価値創出を目指すプロジェクトや、DXによる組織カルチャーの変革に取り組む組織のような、単一の明確な目的を持つチームの運営に、DAOの考え方を取り入れた「社内DAO」を創設することを推奨している。例えば、生成AIの全社展開に向けた試行的導入プロジェクトなどで、メンバーのノウハウを共有しつつ、課題抽出および対処法の検討を行うような場面で、社内DAOを活用することが考えられる。
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