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ITR Review

コンテンツ番号:
R-224082
発刊日:
2024年8月2日

熟慮すべきプロジェクト体制

プロジェクト責任と執行の最適配置と後方支援

著者名:
浅利 浩一
熟慮すべきプロジェクト体制のロゴ画像

DXやデータドリブン経営を実現するためのシステム構築に向けて、大規模なプロジェクトに取り組む企業が増えてきている。企業は、プロジェクト体制を整え、効果的にプロジェクトを運営していかなければならない。重要なのは、経営者に加えて現場およびグループ企業や社外のステークホルダーなどから有効な支援が得られるように組織化することであり、単に形式的なプロジェクトの体制や枠組みをなぞることではない。

増大する大規模プロジェクトとリスク

大規模な基幹系システムの多くが、その刷新に伴いクラウド化されてきている。その理由や背景はさまざまであるが、多くの企業に共通するのは、レガシーやオンプレミスなどが混在したサイロ状態の基幹系システムを刷新しクラウド化することによって、つぎはぎの業務プロセスならびにデータ分析に内在する多数のアナログ作業のデジタル化・自動化を推進することにある。さらに、生成AIやLLMといった、急速に進展する新たなテクノロジを活用していくための業務基盤を整備することにより、本来人間がすべき作業をより高度化させる狙いもある。ユーザーのリテラシーが不足する場合はその底上げを図りつつ、時間をかけて経験を積まないとできなかった業務や意思決定への支援が、生成AIや機械学習といったAI技術によって可能となってきている。AI技術の、いわば燃料にあたるファクトデータの精度を向上させるSSOT(Single Source of Truth)をグループ/グローバルの基幹系システムで実現することが、企業にとって重要なパラダイムになったといえるだろう(ITR Review『グローバルシステムのパラダイムシフト』R-224064)。

だが、こうした大胆で野心的なプロジェクトには、避けがたいリスクもつきまとう。プロジェクトが難航し、納期遅延や予算オーバーとなるばかりか、何とか稼働にこぎ着けても深刻なシステム障害を併発するケースもある。その原因は単純ではなく、表面化した問題の背景には隠れた構造的な課題が内在していることが少なくない。そのなかには、組織風土、意識・認識不足、円滑で効率的なコミュニケーションを可能とする業務基盤の未整備といった、変革の土台となる要素も含まれる。さらに、極めて初歩的なシステム方式や技術の適用を初期の段階で見誤ったことに起因する失敗もある。こうした見極めが不十分なまま後続フェーズに先送りすることは、特に大規模なプロジェクトでは致命傷となる。

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