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ITR Review
シングルインスタンスからデータドリブン重視へ
多くの国内企業は、引き続きDXと基幹系システムのクラウド化の実践を重視している。そうしたなかで、国内だけでなくサイロ化した海外拠点を含むグローバルシステム化が、今後の課題としてクローズアップされていくとみている。そして、その目的は、グローバルシングルインスタンスの実現というものから、データおよびマスタデータの信頼性を向上するデータ基盤の確立へと変遷していくだろう。
2000年代に構築されたグループ/グローバルの大規模基幹系システムの多くが、刷新に伴いクラウド化されてきている。それらの形態はさまざまだが、オンプレミスのパッケージを継承しつつパブリッククラウド上で動作させる方式や、SaaSおよびPaaSを全面的に適用する方式、またはハイブリッドの方式に大別される。そのいずれにおいても、基幹系システムをクラウド化することで、拡張性、柔軟性、アジリティを高める狙いがある。また、前例をそのまま踏襲する再構築ではなく、これまでのビジネスモデルをデジタルで変革しつつサステナビリティを向上させながら、新たなコンセプトで脱構築してデジタルシフトする、といった狙いは共通している。コロナ禍における在宅勤務やリモートワークなど非対面・非接触型ビジネスへの対応や、サプライチェーンに代表されるレジリエンスの向上が契機となった企業も多いだろう。
その背景には、グループ/グローバルのシステムで前提となる多言語および各国法令に対応する主要な海外ERP製品が、オンプレミスのパッケージからクラウドシフトしたことがある。これらのなかには、現在もオンプレミスのパッケージが提供されているものあるが、基本的には「選択も可能」という扱いになっていることが多い。また、新たな機能やAI/生成AIへの対応は、クラウド製品に限定、またはクラウド製品から優先的に提供という方針のベンダーもあることから、四半期ないし半期といった早いサイクルでリリースされる新機能を活用できるクラウド製品を優先的に採用する機運が高まっている。逆に、特にアドオンの継承を目的に従来のシステムをそのままにオンプレミスの新製品で再構築することを選択した企業は、クラウドならびにAIを積極活用する企業と今後大きな差がついていく可能性が高いとITRではみている。
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