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ITR Review

コンテンツ番号:
R-224052
発刊日:
2024年5月9日

オブザーバビリティを正しく理解する

監視との違いと導入でのポイント

著者名:
入谷 光浩
オブザーバビリティを正しく理解するのロゴ画像

システムの可視化と問題解決の新たな仕組みとして、オブザーバビリティが注目されている。しかし、その目的と役割を正しく理解している企業のシステム運用担当者は多くない。オブザーバビリティの本質を正しく捉え、ますます複雑化するシステム運用の高度化を図っていくことが必要となる。本稿では、従来の監視とオブザーバビリティの違いを整理し、オブザーバビリティの導入に向けて留意すべきポイントを解説する。

オブザーバビリティとは

システム運用業務に携わっている人は、この数年「オブザーバビリティ(Observability)」という単語を耳にする機会が多くなったのではないだろうか。日本語は「可観測性」と訳されることが多いが、意味がわかりにくく、ピンとこないのではないだろうか。また、流行りに乗って、その意味をよく理解せずにオブザーバビリティという単語を使っている人も多いだろう。そこで、まずはオブザーバビリティの仕組みについて解説する。

オブザーバビリティは、「システムから出力されるさまざまな計測データを統合的に分析することで、システム環境の内部の状態を常に把握できる仕組み」と説明することができる。オブザーバビリティが注目されている背景には、マイクロサービスアーキテクチャの採用やマルチクラウド化が進んだことがある。これにより、システム環境が複雑になり、単一のメトリクスやログを監視するだけの従来の仕組みでは、全体を把握することが困難になっている。そこで、サーバ、ネットワーク、データベース、アプリケーションなど、オンプレミスかクラウドかを問わず、各ソースから生成されるメトリクス、ログ、トレースに関する全てのデータを関連づけて、統合的に分析し可視化することで、システム環境全体の稼働状態を常に観測できる新たな仕組みが必要とされるようになった(図1)。この仕組みがオブザーバビリティである。さらに、分析によってシステムの異常を検知し、根本原因を迅速に特定することも可能にしている。

図1.オブザーバビリティの仕組み

図1.オブザーバビリティの仕組み
出典:ITR

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