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ITR Review
アドオンやアップグレード問題からの脱却
2021年1月27日に提供開始されたRISE with SAPは、オンプレミスのSAPシステムを利用する企業がクラウドに移行するためのマネージドサービスである。オンプレミスのSAPシステムでは利用企業側が実施しなければならなかったアップグレード作業を、SAP社が実施することが最大の特徴であり、企業が円滑なクラウド移行を図りつつ、AIなどの新機能を積極的に活用していく際の障壁を大きく下げると考える。
SAP社のS/4HANAには、大別してオンプレミスのS/4HANAとSaaSのS/4HANA Cloudがあり、後者はPrivate EditionとPublic Editionがある。S/4HANA Cloudは国内において順調に成長し、すでに2022年度には売上金額ベースでオンプレミスのS/4HANAを上回った。ITRの最新の市場調査レポート『ITR Market View:ERP市場2024』によると、S/4HANAの売上金額の推移は以下の通りである(2020年度の数値は『ITR Market View:ERP市場2023』より)。
●S/4HANA(オンプレミス)2020年度 90億円2021年度 77億円(前年度比85.6%)2022年度 38億円(前年度比49.4%)2023年度(予測) 19億円(前年度比50.0%)●S/4HANA Cloud2020年度 25億5,000万円2021年度 38億円(前年度比149.0%)2022年度 55億円(前年度比144.7%)2023年度(予測) 76億円(前年度比138.2%)
主流であったオンプレミスのS/4HANAは2021年度より減少傾向が見え始め、一方、S/4HANA Cloudが大きく成長して2022年度にはオンプレミスを上回り主流となった。この急速な逆転の背景として、旧製品であるSAP ERPを導入していない新規の企業が、短期間での迅速な導入と基幹系システムのクラウド化を目的にS/4HANACloudを選択したことを指摘しておきたい。そして、もう1つの要因は、2021年1月27日に発表されたRISE with SAPが、SAP ERPからS/4HANAへの移行を企図する既存企業を後押ししたことにあると思われる。この傾向は現在も継続しており、2023年度(予測)においてはオンプレミスのS/4HANAの売上金額は19億円(前年度比50.0%)、S/4HANA Cloudは76億円(前年比138.2%)を見込んでいる。
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