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ITR Review

コンテンツ番号:
R-224036
発刊日:
2024年3月12日

システム技術者コスト上昇への備え(後編)

攻めのDX転換のための「ITコスト構造自己診断」

著者名:
水野 慎也
システム技術者コスト上昇への備え(後編)のロゴ画像

企業は人件費を中心にさまざまなコスト上昇への対応を迫られ、中長期的な環境変化に順応していくための「守り」から「攻め」へのITコスト構造改革が必要である。本稿では、その実現のための、「ITコスト構造改革診断」の活用と、攻めへ転換するための中長期計画立案のポイントについて解説する。

ITコスト構造に関する自己診断

システム技術者のコスト上昇への備えとして、ITR Review『システム技術者コスト上昇への備え(前編)』(R-224021)では、システム技術者の契約単価交渉における短期的抑制策を中心に、ITコスト構造改革の必要性を提言した。後編となる本稿では、ITコストの「負の構造」から脱却し、IT部門のリソースをビジネス成長やイノベーションに寄与する戦略的な案件に振り向けられるようにするための「ITコスト構造に関する自己診断」について解説する。

ITの投資に関するアセスメントにはさまざまな方法が存在するが、本稿で提唱する「ITコスト構造自己診断」は、それまで自社で行ってきた評価手法の考え方を踏襲するとともに、企業のITコスト構造が「攻め」と「守り」のどちらに向いているかを評価するものである。

まずここで、IT投資における「攻め」と「守り」について、ITRの定義を示す。ITの投資は、新規システム構築や大規模なリプレースなどの「新規投資」と、既存システムの維持や若干の機能拡張などにかかる費用である「定常投資」に分けられる。さらに、新規投資はその性質から「ビジネス成長(新規ビジネスの創出、既存ビジネスの拡張など)」「業務効率化(プロセス改善、自動化、就労環境の改善など)」「業務継続(コンプライアンス、セキュリティ対策、災害対策など)」の3つに分類される。本稿が「攻め」と定義するIT投資は、「新規投資」の中の「ビジネス成長(新規ビジネスの創出、既存ビジネスの拡張など)」を指す。図1はITRが実施した『IT投資動向調査2024』の結果から、IT予算における「新規投資」と「定常投資」の平均比率、および「新規投資」のIT予算を「ビジネス成長」「業務効率化」「業務継続」の目的別に平均比率を示したものである。「攻め」にあたる「ビジネス成長」は、全IT予算の32%である新規投資の中のさらに33%(全IT予算の11%)となった。そして、ITコスト構造の「攻め」への注力度合いを測るために、本稿では「戦略度」「DX実践度」「IT人材充足度」の3つの診断を行うことを提唱する。

図1.「攻め」と「守り」のITコスト構造

図1.「攻め」と「守り」のITコスト構造
出典:ITR『IT投資動向調査2024』

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