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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223083
発刊日:
2023年8月1日

再考:ナレッジマネジメント

人本位のプロセスを提唱するKCS

著者名:
舘野 真人
再考:ナレッジマネジメントのロゴ画像

ナレッジマネジメントの支援ツールは数多く存在するが、実際に効果をあげている企業は少ない。その理由は、ナレッジを蓄積・活用するためのプロセスや体制が十分に整っていないためである。本稿では、ナレッジマネジメントの方法論のひとつである「Knowledge-Centered Service(KCS)」を紹介する。

ナレッジマネジメントの課題

組織内の情報や知識を共有・活用するためのプロセスや手法である「ナレッジマネジメント」は、かねてから企業における重要なテーマであった。だが、ITRに寄せられる相談や質問からは、その効果が十分にあがっていないと悩む企業担当者がここにきてにわかに増えているように感じられる。

その背景にはさまざまな事情が考えられるが、そのひとつに、コロナ禍以降の働き方の変化(すなわち、リモートワークの増加)をあげることができる。つまり、ナレッジマネジメントの一連のプロセスを理解するためのフレームワークとしてよく知られている「SECIモデル」でいえば、知識を創造する4つのモードのうち、「共同化」「表出化」「内面化」の3つが、十分に機能しない、あるいはそのために必要な場が不足しているという事態に陥っている可能性がある。上記3つのモードには、それぞれ「創発」「対話」「実践」の場が必要であるとされているが、これらはいずれもリモートワークにおいて失われがちなものといえる(図1)。

ナレッジマネジメントを支援するITツールは数多く登場しているが、それが活きるのは、SECIモデルにおける「連結化」のモードである。残る3つのモードが機能不全に陥っているとすれば、たとえツールを導入したとしても、組織的な知識創造のスパイラルアップは実現されない。したがって、働き方や業務プロセスに変更が生じた組織では、ツールだけでなく、ナレッジマネジメントに関わるプロセスにも見直しが求められる。

図1.SECIモデルの概要

図1.SECIモデルの概要
出典:『知識創造企業』野中郁次郎・竹内弘高著(東洋経済新報社)を基にITRが作成

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