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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223073
発刊日:
2023年7月1日

サプライチェーンの7つの普遍的原則

需要と供給の最適化とスループットの最大化

著者名:
浅利 浩一
サプライチェーンの7つの普遍的原則のロゴ画像

AIやデジタル技術が注目されており、第4次産業革命で提唱されたIoTによるスマートファクトリーなど、サプライチェーンの機械化やデジタル化に取り組む企業もある。サプライチェーンやロジスティクスのデジタル化が進展する一方で、需給変動や地政学的なリスクなどの不確実性が高まっており、サプライチェーンマネジメントはこれまで以上に困難な問題解決や意思決定が求められている。企業は、原理原則を再考することで、サプライチェーンマネジメントの本質を見失わないようにすべきである。

サプライチェーンを取り巻く環境

長引く半導体不足や、地政学的リスクに伴う原油・天然ガスなどのエネルギー価格の高騰など、先が読めない不確実な時代が続いている。さらに、CO2排出量削減やサーキュラーエコノミーへの対応に代表されるサステナビリティや、ESG経営などの政策的な規制の実施でも動きが見られる(ITR Review 2022年12月号『EUにおけるサーキュラーエコノミーの状況』#R-222122)。例えば、EUは、ICE(内燃機関)自動車の新車販売を2035年以降禁止する法律の整備で合意し、各国はその前提で電気自動車へのリソース配分を高めてきた。しかし、2023年3月28日、EUはCO2を実質排出しないe-fuelと呼ばれる合成燃料のみを利用する場合は新車販売を容認するとの法案を突然発表し、内燃機関の販売禁止を事実上撤回したかに見える。このように、グローバルのサプライチェーンを取り巻く環境とその突然の変化は、まさに不確実性下にあるといえる。

そうしたなか、主要先進国では、自由経済の安定的な成長と地政学的リスクを分散するために経済安全保障の枠組みを強化している。経済産業省は、2020年5月から「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の公募を開始し、生産拠点の国内回帰を含め、産業に不可欠な重要資源の確保を支援している。さらに日本政府は、2023年3月28日、「日米重要鉱物サプライチェーン強化協定」に署名し、リチウムなど重要鉱物のサプライチェーンを強靭化する政策を推進している。サプライチェーンのレジリエンスは、企業の課題であるとともに、社会・産業および国家レベルの政策が絡み合う施策として、従来とは異なる緊張感で重視される時代になってきたといえよう。

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