顧客企業や消費者向けにITサービスやスマートフォンアプリを提供する国内ユーザー企業の増加に伴い、SRE(Site Reliability Engineering:サイト信頼性エンジニアリング)に注目する企業が増えている。企業は、SREはDevOpsが前提であることを理解し、これまでの運用の延長上ではなく、システム運用を抜本的に変革するためにSREに取り組むことが重要である。
SREに注目する国内企業の増加
ITシステム運用をソフトウェア・エンジニアリングとして捉えるSREに対する国内ユーザー企業の注目度が高まっている。また、国内ITベンダーでもSREを自社ビジネスに取り込む動きが出ている。国内企業においては、クラウドサービスが普及することによって、ITシステムの設計/構築手法がモダナイズされている。しかし、運用は従来の人的作業が中心であることもSREへの注目度が上がっている要因である。
なお、SREの基本概念については、ITR Reviewバックナンバーで解説している。下記の原稿を参照されたい。
2020年8月号『SREとは何か(前編)―新しいシステム運用エンジニアリングの価値―』(#R-220085)
2020年9月号『SREとは何か(後編)―運用エンジニアリングのプラクティスと成功アプローチ―』(#R-220093)
SREを産み出したGoogle社が「class SRE implements DevOps(DevOpsの思想を実装するのがSREである)」と表現しているように、SREはDevOpsなしでは成り立たないといっても過言ではない。DevOpsではツールと自動化を活用することを推奨しており、SREでは例えば「今年の仕事を自動化する」ことを目標にして運用関連のあらゆる手作業をツールと自動化で最小化することが必要となる。
SREを自社で活用するためのロードマップを図1に示した。ユーザー企業が自社システムにSREを活用するケースと、ITベンダーがIT運用サービスの一環としてSREを活用するケースの2つに分けた。