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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223053
発刊日:
2023年5月1日

小売業のDX推進を後押しするリテールテック

拡大するIT投資の注力ポイントとその背景

著者名:
水野 慎也
小売業のDX推進を後押しするリテールテックのロゴ画像

コロナ禍を契機に、消費者のオンラインによる購買行動が定着したが、行動制限が緩和されつつある今、消費者はオンラインの購買行動を維持しつつリアル店舗へも足を向け始めている。本稿は、小売業のDX推進を支える「リテールテック」に焦点をあて、提供されるソリューション領域をまとめるとともに、それを重視する小売業の背景や業務課題について考察する。

拡大する小売業のDX投資

コロナ禍以前より店舗を中心としたビジネス展開を行ってきた小売業にとって、コロナ禍の消費者の行動制限は、ビジネスの存続にかかわる問題であった。そのため小売各社は、オンライン注文と宅配網の活用による事業継続を余儀なくされた。そして、コロナ禍の収束と行動制限の緩和を背景に消費者がリアル店舗に向かい始めたことから、小売業にはオンラインとリアル店舗を巧みに融合させた、OMO(Online Merges with Offline)の取り組みが必要となってきている。この取り組みでは、オンラインへのIT投資に加え、リアル店舗側にもデジタルの活用が重要となる。このことは結果として小売業各社のデジタル活用への注目を高め、DX推進を加速させる一因になったと見られる。

図1は、ITRが2022年秋に実施した『IT投資動向調査2023』のDX実践度スコアを業種別に比較したものである。このDX実践度スコアは、ITRが設定したDXの主要16テーマに対し、推進状況(進行度合いと成果の有無)を4段階で問うた結果を表したものである。スコアは100点満点とし、70点以上を「半分以上のDXテーマで成果があがっている状態」、50~70点を「多くのDXテーマが推進され、一部で成果があがっている状態」などの評価尺度を提示している。2022年調査時の全体平均は33.0ポイントとなり、前年から2.5ポイント上昇した。なかでも小売業に卸売業を合わせたセグメントは、前年から4.7ポイントと最も高い伸びを示し、2022年は全体平均(33.0)を上回る33.3ポイントとなった。この卸売・小売業のDX実践度スコアが示す推進状況は、「多くのDXテーマでプロジェクトが実施されているが、成果はあがっていない段階」であり、多くの企業がDXテーマを決め、具体的ソリューションを選定している状況であると推測する。

図1.DX実践度スコアの変化(2021~2022年調査):業種別

図1.DX実践度スコアの変化(2021~2022年調査):業種別
出典:ITR『IT投資動向調査2023』

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