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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223044
発刊日:
2023年4月1日

DX予算の策定状況とIT投資

DX予算比率とIT製品・サービスへの投資の関係

著者名:
三浦 竜樹
DX予算の策定状況とIT投資のロゴ画像

『IT投資動向調査2023』では、IT予算に対するDX関連予算(以降、DX予算)の計上状況を調査した。本稿では、他社の状況をベンチマークとして利用できるように、DX予算を売上げに対する比率に換算し、売上規模別と業種別の分布を分析する。また、DX予算比率の高い企業における2023年度の新規導入可能性が高いIT製品・サービスを取り上げ、他の企業との差を明かにする。

売上規模別に見る売上げに対するDX予算比率

ITRでは、毎年実施している『IT投資動向調査』において国内企業のDXに関わる取り組み状況を定点観測しているが、2022年秋に実施した調査ではDX予算に関しても問うた。なお、設問においてDX投資の範囲(オンライン会議や、スマート工場の設備、BtoC向けIoT商品まで含むかなど)について明示しておらず、何をDX予算として捉えているかは個々の回答企業によって異なる点に留意されたい。

まず、DX予算を計上している企業は、全体の約半数であった。これらの企業を対象に、IT予算に対するDX予算比率を問うたところ、全体平均は21.9%となり、業種別では「製造」が26%で最も高く、「公共」と「金融・保険」が20%未満と低い結果であった(ITR Review 2022年12月号『DX実践フェーズに軸足を移すIT投資』#R-222121)。

本稿では、ベンチマークとして活用しやすくするために、IT予算に対するDX予算ではなく、売上げに対する同予算の比率を再計算して、平均値だけでなく中央値および四分位数(箱ひげ図)を見ていく。なお、『IT投資動向調査2023』でのIT予算比率の算出時と同様、IT予算比率が比較的高い傾向にある「電力・ガス」「通信」「銀行」「証券」「保険」の業種での「50%超」、およびそれら以外の業種での「10%超」のIT予算比率の回答は、平均値に与える影響が大きいと判断し、DX予算比率の算出においても有効回答から除外している。また、四分位数の計算においては、包括的な中央値を採用している。

最初に、売上規模別に、売上げに対するDX予算比率の平均値と中央値を見ると、売上規模「10億円未満」が平均値1.0%、中央値0.5%となり、ともに最高値となった(図1)。また、「10億円未満」以外は、第3四分位数から最大値までの分布が、最小値から第1四分位数までの分布よりも大きく、中央値は0.1~0.2%で、平均値の0.5~0.7%よりも低い。

平均値と中央値の差が最も大きいのは「5,000億円以上」の企業であり、中央値が0.1%と他の売上規模よりも低いのに対し、平均値0.7%を超えるDX予算の企業も多いことがうかがえる。また、「100億~500億円未満」の企業では、最大値が1.6%と最も高く、また、四分位範囲(第1四分位から第3四分位の箱の上下幅)も最も広い。これは、DX予算比率を中央値の0.2%を境に0.03%の第1四分位数までに25%、0.75%の第3四分位数までに25%、合わせて半数の企業が箱の範囲内でDX予算を計上していることを示している。

図1.売上げに対するDX予算比率:売上規模別(2022年度)

図1.売上げに対するDX予算比率:売上規模別(2022年度)
出典:ITR『IT投資動向調査2023』

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