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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223043
発刊日:
2023年4月1日

業務部門におけるDXの実態

成果獲得のために求められる現場の主導性

著者名:
舘野 真人
業務部門におけるDXの実態のロゴ画像

DXというキーワードが一般化するにつれて、国内企業でのデジタル化投資は進展しているが、その一方でその成果を実感できている業務部門の割合は増えていない。本稿では、ITRが非IT部門(業務部門)を対象に実施したアンケート調査の結果を紹介する。

成果を実感しづらいデジタル化プロジェクト

DXを推進するうえでは、経営者やIT部門だけでなく、現場でビジネスを営む業務部門が自分事としてその活動に関与することが不可欠である。ITRでは、業務部門がDXにどの程度取り組んでいるかを明らかにするために、大企業(年商500億円以上の民間企業、大学・短大、病床数300以上の病院、官公庁と人口10万人以上の地方自治体)の非IT部門の所属者に、2020年から調査を実施している。同調査では、主に社内の業務プロセス改善や既存事業の付加価値向上につながるテーマを「デジタライゼーション分野」、顧客接点の改善や新規事業やビジネスモデルの変革につながるテーマを「DX分野」と位置づけ、その取り組み状況を定点観測している。

最新の2022年度の調査結果(2022年12月実施)では、デジタライゼーション分野、DX分野ともに、投資済みとした割合が緩やかながら右肩上がりであることが確認できた一方で、成果を実感している割合が前年度から低下し、2年前(2020年度)をも下回った(図1)。デジタル化に関わる施策の成果が思うようにあがっていないことは、ITRがIT責任者を対象に実施している『IT投資動向調査』の結果でも示されたが、その傾向は業務部門においてはより顕著に表れているといえる。

回答結果をセグメント別に見ると、デジタライゼーション分野では「人事・総務・経理」に代表されるバックオフィス部門、DX分野では「デジタル/新規事業開発」「販売・マーケティング」といった成長や売上げ拡大に責任を持つ部門において、それぞれ成果を実感する割合の低下が目立った。業務生産性の向上や収益の創出といった、デジタライゼーション/DXによって期待される代表的な価値が十分に生み出されていないことが推察される。業務部門における成果の実感度合いを高めることは、今後のデジタル化プロジェクトの推進力を維持・向上するうえで極めて重要な課題となろう。

図1.さまざまな業界における現場業務のデジタル化

図1.さまざまな業界における現場業務のデジタル化
出典:ITR『業務部門におけるデジタル投資動向調査』(2021年2月/2021年12月/2022年12月調査)

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