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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223034
発刊日:
2023年3月1日

漸進型イノベーションのDX施策

身近なところから始めるデジタル化による業務変革

著者名:
内山 悟志
漸進型イノベーションのDX施策のロゴ画像

DXの実践施策は多岐にわたる。データや先端的なデジタル技術を活用した新規ビジネスの創出が注目されがちであるが、既存事業のおける業務プロセスの高度化や働き方改革など、業務現場の身近な業務変革を含む漸進型イノベーションも重要なDX施策の打ち手といえる。

DX実践施策のタイプ

具体的なDXの実践には、業務の高度化や顧客への新規価値の創出を行う「漸進型イノベーション」と、新規ビジネスの創出やビジネスモデルの変革を行う「不連続型イノベーション」の2つのタイプがある。前者は、主に既存事業を対象とし、デジタル技術やデジタル化したデータを活用して、業務のあり方を大きく変革したり、これまでできなかったことを実現したりする。一方、後者は自社がこれまで展開してこなかった事業分野に進出したり、新しい市場を切り拓いたりするものだ。両者は、推進のアプローチや目指すゴールが異なる。DXに関する議論がかみ合わない状況をたびたび目にするが、多くの場合、この両者の違いを明確にしていないことが原因と考えられる。これは、2019年に邦訳が出版された『両利きの経営』(チャールズ・A・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著、東洋経済新報社)が示している考えと同様であり、企業はこの両方ができるようにならなければならないと述べている。

DXの実践施策を、提供価値と顧客層・市場という2軸で整理すると、「社内業務の変革」「既存顧客への新規価値の創出」「事業領域の開拓・拡張」「新規ビジネス/サービスの創出」の4つのタイプに分けることができる(図1)。DX施策といえば、データや先端的なデジタル技術を活用した新規ビジネスの創出が注目されがちであるが、それだけがDXではない。社内業務の変革は、これまでのIT活用の範疇でありDXではないという指摘も聞かれるが、ここまでが「通常のIT化」で、ここからが「DX」といった線引きにはあまり意味がない。新旧を問わずITやデジタル技術を活用することで、新しい価値を生み出し、デジタル時代に適合する企業に生まれ変わることがDXの本質であり、4つのタイプの施策を着実に進めることが重要である。実際に、不連続型イノベーションを創出した事例を詳しく分析すると、社内業務の変革や既存顧客への新規価値の創出といった漸進型イノベーションから派生して生まれたものも少なくない。本稿では、既存事業の強化や高度化を目指す漸進型イノベーションの進め方と着眼点について考察する。

図1.DX実践施策の類型

図1.DX実践施策の類型
出典:ITR

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