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ITR Review

コンテンツ番号:
R-223013
発刊日:
2023年1月1日

ポストモーテムとは何か

失敗から学ぶ組織文化の醸成

著者名:
甲元 宏明
ポストモーテムとは何かのロゴ画像

SRE(Site Reliability Engineering)の認知度が高まるに伴い、ポストモーテムへの注目度も上がっている。障害やインシデントを発生させた担当者や部門を非難することなく、組織や個人が過去の失敗から学ぶ文化を創るこの活動を通して、チームの創造性や生産性を向上させることが可能となる。

SREとポストモーテム

DXに取り組む企業の増加に伴い、アジャイル開発やDevOpsに積極的な国内企業が増えている。アジャイル開発はアプリケーションの設計/実装/テスト/運用までのサイクルに対するパラダイムであり、DevOpsは開発運用のためのメソドロジである。アジャイル開発とDevOpsは基本的には設計開発をメインターゲットとしてきたため、アプリケーション運用やITインフラを含めたシステム運用に対するメソドロジが求められてきた。その解のひとつが、Google社が最初に提唱したSRE(Site Reliability Engineering)である。SREでは、運用全般をエンジニアリング対象と考え、人的作業を極力減らし、ツールを利用し自動化を行う。運用に関連する作業を全て記録し、漸進的な改革/改善を推進するための活動となる。SREには「失敗のコストを削減する」という項目もある。IT領域に限らず、国内企業では失敗はあってはならないものと考える傾向があるが、どのような活動においても失敗をゼロにすることは不可能である。失敗をゼロにするのではなく、失敗したときの代償を小さくすることを目指す。SREについては、ITR Review 2020年8月号の『SREとは何か(前編)』(#R-220085)および2020年9月号の『SREとは何か(後編)』(#R-220093)を参照されたい。

Google社には図1に示す3つの基本原則があり、その2つ目の原則に「ポストモーテム」という単語が使われている。ポストモーテムとは、事後に振り返りを行う活動のことであり、SREでは必須の活動であるが、SREを採用していない企業においても、アジャイル開発やDevOpsを推進する際の振り返りツールとして、ポストモーテムを採用することを推奨する。次ページから、ポストモーテムの価値について詳しく解説するとともに、具体的な進め方を紹介する。

Google社には図1に示す3つの基本原則があり、その2つ目の原則に「ポストモーテム」という単語が使われている。ポストモーテムとは、事後に振り返りを行う活動のことであり、SREでは必須の活動であるが、SREを採用していない企業においても、アジャイル開発やDevOpsを推進する際の振り返りツールとして、ポストモーテムを採用することを推奨する。次ページから、ポストモーテムの価値について詳しく解説するとともに、具体的な進め方を紹介する。

図1.SREの基本原則

図1.SREの基本原則
出典:Google社の公開情報に基づきITRが作成

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