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ITR Review

コンテンツ番号:
R-219115
発刊日:
2019年11月1日

ESG/SDGs投資とIT

新たな企業投資基準のためのIT

著者名:
藤 俊満
ESG/SDGs投資とITのロゴ画像

これまで企業への投資基準は財務諸表で報告される売上げや利益率などの管理指標の数値であった。しかし、国際連合がESG(E:環境、S:社会、G:企業統治)への投資責任を考慮すべきというPRI(責任投資原則)を提唱し、同じく国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことにより、投資の基準が非財務諸表の領域へ広がってきている。しかし、これらへの取り組みと達成状況を計測・評価するには、極めて脆弱な現在のITインフラを整備することが重要になる。

国連のESGによる企業投資基準の変化

投資家が企業の株や債券に投資する場合、これまでは対象企業の売上規模や利益の推移、またはROAやROEのような財務諸表ベースの管理指標を参考に投資判断を行ってきた。対象企業が売上げや利益を上げるために、環境破壊や違法な労働行為、または不正な取引を行っていても投資判断で考慮されることは少なかった。しかし「企業は社会の公器」という松下幸之助の言葉のとおり、短期的な売上げや利益をあげることだけに注力していては、社会の持続的な発展もなく、長期的には企業も行き詰まってしまう。

一方で、海外に目を向けると国際連合(以下、国連)は2005年に世界の持続的な発展を目指して国連責任投資原則(Principles for Responsible Investment、以下PRI)を提唱した。ここでは、金融機関や年金運用機関などの機関投資家に対して、投資にあたってはESG(E:Environment 環境、S:Social 社会、G:Governance 企業統治)課題への取り組み状況を考慮し、投資家としての責任を果たすべきであるとの宣言がなされた。PRIには、グローバルで多くの金融機関や年金運用機関が署名し、日本でも2015年に国民年金の運用機関である年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund、以下GPIF)が署名したのに続き、主要な金融機関や企業年金運用機関が次々と署名を行った。

また、国連では世界の持続的な成長を目指して「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、以下SDGs)」が2015年の国連総会に採択された。SDGsでは世界の持続的な成長のための17の目標と169の具体的な項目(ターゲット)が定義されている。国内でも多くの企業がSDGsに取り組むようになり、CSR報告書や統合報告書と呼ばれる非財務諸表系の報告書の中で具体的な取り組み内容を公表している。

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