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ITR Insight

コンテンツ番号:
I-325041
発刊日:
2025年4月4日

これからの企業システムに求められる戦略的インテグレーション

著者名:
水野 慎也
これからの企業システムに求められる戦略的インテグレーションのロゴ画像
AIの利用が前提となるこれからの企業システムに生まれる多次元の連携とは
多次元連携を実現するための戦略的インテグレーションとはどのようなものか
戦略的インテグレーションの実現に求められるデザインアプローチとは

クラウドサービスを利用した業務システムの増加や、急速なAIの普及を受け、企業のシステムやデータソース、そしてLLMなどのAI関連システムは、複数が同時並行で稼働し、相互に複雑な接続関係を生み出し始めている。システムの複雑な連携は、ビジネス変化への柔軟な対応を阻害し、競争力の低下につながる恐れもある。本稿では、複雑化するそれらシステムの戦略的な全体デザインを描く「インテグレーション」の再考を提唱するとともに、最適な多次元連携を実現するデザインアプローチについて解説する。

1.現状の課題と戦略的インテグレーションの必要性

1-1. 複雑化するシステム連携

DXの進展により、企業の情報システムは急速に多様化している。AIの活用がこの動きをさらに加速させ、新規システムの構築や既存システムのリニューアルが進んでいる。企業が競争力を維持し、ビジネスの変化に柔軟に対応するためには、これらのシステムを適切に統合することが必要となる。

現在、企業が導入する情報システムは大きく3つのカテゴリに分類できる(図1)。「業務系システム」は、需要予測、生産管理、在庫管理、会計・財務など、企業の基幹業務を支えるシステムである。「情報系システム」は、営業支援、顧客管理、データ分析など、情報の収集・活用を通じて意思決定や顧客対応を強化する。「IT管理系システム」は、IT基盤管理、IT運用管理、セキュリティなど、システム全体の安定運用を支える役割を担う。

図1.企業情報システムは複雑に連携する

図1.企業情報システムは複雑に連携する
出典:ITR

これらのシステムは単独で機能する場合もあるが、一般的には複数のシステム間でデータのやり取りが必要となる。例えば、需要予測システムが生産管理システムと連携することで、最適な生産計画を立案することができる。また、顧客管理システムを営業支援ツールやECプラットフォームと統合することで、より高度な顧客エンゲージメントが実現できる。

DXの推進に伴い、多様なシステムの導入が加速し、それらが相互に連携することで、多対多の複雑なネットワークが形成されつつある。また、今後、AIの本格的な活用が進むことで、これらのシステムはAIの支援を受け、業務の効率化や高度化が期待される一方、システム間の連携ポイントも増加することとなる。このまま業務系・情報系・IT管理系を横断するシステム連携が無秩序に拡大すれば、運用管理の負担が増大し、システム間の整合性を維持することが困難になる可能性がある。その結果、データの一貫性が損なわれ、業務効率の低下やシステム障害のリスクも高まることが懸念される。

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