なぜサステナビリティデータ活用の重要性が高まっているのか
企業におけるサステナビリティデータの収集・管理の実態と課題は
戦略的に活用するためのサステナビリティデータ管理はどうあるべきか
近年、企業にサステナビリティ関連情報の開示を義務付ける動きが強まっており、日本も義務化の方向にある。企業はこうした情報開示に対応すべく、サステナビリティに関連するデータを収集・分析し、管理する必要性に迫られているが、現状は課題が多く、効率的に進められていない。本稿では、企業におけるサステナビリティデータの収集・管理に関する実態と課題を調査結果から明らかにし、情報開示と規制対応にとどまらず、経営戦略でサステナビリティデータを活用するためのアプローチを考察する。
1.サステナビリティデータの重要性
1-1. サステナビリティ課題への関心の高まり
近年、企業は多岐にわたる環境および社会的課題への対応が求められている。そこでは、気候変動、資源の枯渇、生物多様性、社会的不平等、人権問題、そして地域社会との関係といった多様な課題と向き合わなければならない(図1)。これらの課題に対処するためには、企業がサステナブル(持続可能)なアプローチを採用することが不可欠である。
出典:ITR
また、投資家の投資判断においても、企業のサステナビリティへの取り組みが重視されるようになっている。単なる利益追求にとどまらず、長期的な視点で環境および社会への配慮を示すことが、企業の価値向上につながると認識されている。そのため、サステナビリティ経営の確立は、今後ますます企業にとって重要な課題となる。