『IT投資動向調査2024』から紐解くIT投資とDXの成果

DXに取り組む重要性への認識は高まっているが、成果を得ている企業はまだ少ない。DXで成功を収めている企業と自社ではどのような違いがあるのかが、多くの企業にとって関心事となっている。本稿では、ITRが毎年実施している『IT投資動向調査2024』の調査結果から、IT予算の増減傾向、DXへの取り組み状況、2024年度に向けたIT戦略や製品・サービスへの投資動向とこれらの関係性を読み解く。

IT投資動向調査とDX

ITRでは2001年以降、毎年、国内企業におけるIT投資の動向を調査しており、2023年12月に発刊した『国内IT投資動向調査報告書2024』では、IT投資の方向性、IT戦略と注目動向、DXに向けた取り組み、IT部門の人員動向、IT製品・サービスへの投資意欲についてまとめている。
DXについては2019年から調査項目に加えており、さまざまなDXの取り組みの中から16のテーマを選出し、それらへの取り組み状況および成果の有無から「DX実践度スコア」を算出している。調査結果からは、多くの企業でDXプロジェクトの検討や取り組みがさまざま進められているものの、その成果を実感できている企業はまだ一部に限られていることが明らかとなった。

本稿の前半では、同調査から、企業のIT投資の方向性とDXに向けた取り組み状況を紹介する。中盤から後半では、上記の「DX実践度スコア」から回答企業を2つのグループに分類し、両グループ間のIT戦略や注目IT動向の重要度、DXの取り組み体制、そして2024年度のIT製品・サービスへの投資計画の違いを見ていく。