独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール（所在地：東京都新宿区、代表取締役：三浦 元裕、以下「ITR」）は、AI関連の主要8市場である、画像認識、音声認識、音声合成、テキスト・マイニング／ナレッジ活用、翻訳、検索・探索、時系列データ分析、機械学習自動化プラットフォームの市場規模推移および予測を発表します。
AI主要8市場のなかで2019年度に売上金額を最も伸ばしたのは前年度比95.0%増と約倍増した機械学習自動化プラットフォーム市場です。これまで多くの企業で課題であったデータサイエンティスト人材の不足を補うことができる製品・サービスとして市場の認知度が高まり、大企業を中心に導入が進みました。市場参入するベンダーが徐々に増え、低価格化も進んできており、今後も導入が継続的に拡大することが見込まれます。同市場に次いで高い伸びを示したのは同70.4%増の画像認識市場で、上位ベンダーによる設備点検用途での大口案件の獲得が要因となっています。現状は工場などで行われる製品の外観検査や、道路や橋などの社会インフラ、各種建造物の保全業務での活用が主体ですが、導線・動態分析や車両の自動運転関連など、用途が多様化しつつあり、今後も継続的な伸びが予想されます。
2019年度のAI主要8市場全体の売上金額は384億500万円、前年度比37.8%増と大幅な伸びとなりました。8分野とも、技術的な進歩に加え、各種製品・サービスと組み合わせたソリューションの拡大により活用用途の多様化が市場の成長の背景となっています。AI主要8市場のCAGR（2019～2024年度）は20.6％、2024年度には980億円に達すると予測しています。なかでも最も高い伸びを見込んでいるのが時系列データ分析市場であり、CAGRは31.5%を予測しています。年々増大するデータに対して、複数のデータを掛け合わせた高度な分析ニーズが高まっていることが背景にあります。
ITRのシニア・アナリストである舘野真人は、「AIシステムは独自開発が主流であり、ビジネス用途で汎用的に利用できる製品・サービスはまだ限られています。そうしたなかで、開発に必要な作業を効率化する機械学習自動化プラットフォームが、専門スキルを持つスタッフが不足している国内企業の間で採用が拡大しています。一方、汎用サービスの分野では、画像認識と翻訳の実用化が先行しています。今後も、自社固有のデータから洞察を得るための独自開発の支援と、学習済みモデルを利用することで迅速にAIの価値を享受する汎用サービスの両輪によって、国内のAI関連市場は拡大を続けると見込まれます」とコメントしています。
調査概要
今回の発表は、ITRが発行する市場調査レポート「ITR Market View：AI市場2020」に詳細を掲載しています。同レポートには、AI主要8市場を対象に、国内63ベンダーへの調査に基づいた2018～2019年度売上げ実績および2024年度までの売上げ予測を掲載しています。