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プレスリリース

国内企業のIT予算の伸びは鈍化するも
デジタル変革に向けた体制整備と技術への投資が本格化へ
ITRが「IT投資動向調査2020」の結果を発表

株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:三浦 元裕、以下「ITR」)は2019年8月から9月にかけて実施したIT投資動向調査の一部結果を発表いたします。全調査結果を掲載したレポートも本日より販売を開始いたします。

本調査では、従来から定点観測しているIT予算の増減傾向や製品・サービスの投資意欲の動向の変化に加え、今回、新たにデジタル変革※1に対する企業の取り組み状況、組織体制、そして今後のIT部門に求められる役割などに関して、調査・分析しました。調査対象は、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者とし、2,826件の有効回答を得ました。

IT予算は増額傾向を維持するものの勢いには陰り

2019年度(2019年4月~2020年3月)のIT予算額は、前年度から増加したとする企業の割合が35%、減少とした企業の割合が8%、横ばいの企業の割合が57%となりました。2020年度(2020年4月~2021年3月)に向けては、10%以上の大幅な増加を見込む企業の割合が2019年度の同回答から2ポイント減少し、20%未満の減少を見込む企業の割合が2ポイント増加しています。

このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数※2」を見ると、2019年度の実績値は2.62となり、2014年度以来5年ぶりに前年調査時の予想値(2.68)を下回る結果となりました。加えて、2020年度の予測値も僅かではあるものの前年の調査時の予測値から下がっており、2015年度以降続いていた上昇傾向に歯止めがかかる結果となりました。国内企業のIT予算は堅調に増加傾向にはあるものの、その勢いには陰りが見え始めています。

<参考資料1> IT予算額増減傾向の経年変化(2009~2020年度予想)
<参考資料1> IT予算額増減傾向の経年変化(2009~2020年度予想)

※1:デジタル技術を活用した業務やビジネスの変革。デジタル・トランスフォーメーション、DXとも称される。
※2:指数の定義は、2015年度までは「20%以上の減少を-20、20%未満の減少を-10、横ばいを0、20%未満の増加を+10、20%以上の増加を+20として積み上げて回答数で除した値」であり、2016年度以降は、「20%以上の減少を-20、10%から20%未満の減少を-15、10%未満の減少を-5、横ばいを0、10%未満の増加を+5、10%から20%未満の増加を+15、20%以上の増加を+20として積み上げて回答数で除した値

重要度で上位を席捲するデジタルビジネス関連施策

今回の調査では、近年注目されている主要なIT動向を新たに20項目選定し、その重要度と実施率に着目しました。その結果、主要なIT動向の重要度指数※3で最上位となったのは「全社的なデジタルビジネス戦略の策定」であり、次いで「基幹系システムのクラウド化の実践」となり、この2項目が3.0以上の高い指数となりました。また、「デジタル技術を活用した新たな収益源の創出」「デジタル人材の新規採用」「AI/IoT技術の実用化」なども上位に並び、デジタルビジネスに関連する項目の重要度が高いことが確認されました。また、重要度指数が高い項目ほど、2019年度の実施率、2022年度の実施率予想ともに高いという相関関係も見られます。

<参考資料2> 主要なIT動向の重要度指数と現在および2022年度の実施率予想
<参考資料2> 主要なIT動向の重要度指数と現在および2022年度の実施率予想

※3:重要度指数の定義は、重要度が「高い」を5ポイント、「中程度」を3ポイント、「低い」を1ポイントとして、各項目の有効回答数で除した値

8割の企業がデジタル変革を重要と位置づける

デジタル変革の位置づけに関しては、重要と考える企業の割合は8割を上回り、国内企業においても無視することのできない課題となっていることが確認できました。しかしその一方で、デジタル変革を「全社レベルで取り組むべき」(27%)とする積極派から、「少なくとも部門・部署によっては取り組むべき」(34%)とする中間派、「自社においては効果は限定的」(21%)とする懐疑派まで意見は割れており、企業によって温度差がある実態も浮き彫りとなりました。

また、組織体制に関しては、デジタル変革のための何らかの組織体を有する企業は全体の6割に達しており、組織的にデジタル変革に取り組もうとする国内企業の意思が見て取れました。ただし、専任部門が設置されている割合は15%にとどまり、既存部門が担当しているとした回答と比べるといまだ少数派となっています。さらに、この結果を前述のデジタル変革の位置づけ別に見てみると、デジタル変革の位置づけが高い企業ほど、専任部門が設置されている傾向が見られました。特に、デジタル変革を「全社レベルで推進すべき」と考える企業ではこれが3割を超えています。

<参考資料3> デジタル変革の位置づけ別に見る専任部門の設置状況
<参考資料3> デジタル変革の位置づけ別に見る専任部門の設置状況

新しい製品・サービス分野への投資意欲が鮮明に

今回の調査では、製品・サービスの投資意欲を確認するために、5分野、全110項目について現在の導入状況と今後の投資意欲を問いました。例年同様、全項目について導入企業における次年度の投資額の増減傾向を「投資増減指数」、次年度において新規で導入する可能性のある企業の割合を「新規導入可能性」としてそれぞれ算定し、動向を分析しました。その結果、2020年度の新規導入可能性および投資増減指数はともに「5G」がトップとなりました。

 

<参考資料4> 2020年度に新規投資が期待される製品・サービス(業種別)
<参考資料4> 2020年度に新規投資が期待される製品・サービス(業種別)

分野別の動向を見ると、インフラ/デバイス分野では「5G」、ミドルウェアの分野では「AI/機械学習プラットフォーム」、業務系システム分野では「電子契約/契約管理」および「ERP」、情報系システム分野では「グループチャット/社内ソーシャル」や「チャットボット/チャットサポート」といったチャット関連サービス、セキュリティ分野では、セキュリティ分野では「SOC/マネージド・セキュリティ・サービス」といったテクノロジが、複数の業種で新規導入可能性で1位となりました。

求められるデジタル変革に向けた組織整備とIT予算確保

今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト三浦竜樹は、「今回の調査では、企業においてデジタル変革の重要性が高まっていることが裏付けられました。『全社的なデジタルビジネス戦略の策定』が最重要テーマとなり、デジタル技術を活用した業務やビジネスの変革を重要と考える企業が8割に上りました。さらに、製品・サービスへの投資動向においても、5G、AI、IoT関連項目が高くなっており、これらを活用したビジネスの推進が多くの企業にとって早急に取り組むべき課題となっていることがうかがえます。また、デジタル変革において、IT部門への期待が高いことも見て取れました。IT部門はこれまで比重の高かったシステム改善や保守、セキュリティ管理といった役割から、技術支援・提案やビジネス・イノベーションの促進に貢献する役割へシフトさせていくとともに、そのためのIT予算を確保することが重要であると考えます」と述べています。

調査の概要

本調査は、ITRが2019年8月23日から9月3日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者ならびにWeb調査の独自パネルメンバーなどのうち、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者に対して、Web経由で回答を呼びかけました。その結果、2,826人から有効な回答を得ました。

本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2020』としてITRのWebサイトを通じて、本日より販売を開始いたします。


レポートの詳細は、「国内IT投資動向調査2020」に掲載しています。

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