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国内企業のIT予算は堅調に増加
AI、IoTなどの新技術に対する投資意欲も拡大
― ITRが「IT投資動向調査2017」の結果を発表 ―

2016年10月19日
株式会社アイ・ティ・アール

株式会社アイ・ティ・アール(ITR、代表取締役 内山悟志)は本日、国内企業を対象に2016年8月から9月にかけて実施した国内IT投資動向調査の一部結果を発表いたします。 2001年の調査開始から16回目を数える今回の調査では、従来から定点観測しているIT予算の増減傾向、重視するIT戦略などに加えて、全110項目に及ぶ製品・サービス分野の投資意欲、海外進出企業のITガバナンスの実情などについて調査を行いました。前年調査を上回る2,685件の有効回答を得ました。

  • 伸び率が再び上昇したIT予算

    2016年度(2016年4月~2017年3月)のIT予算は、前年度から「増額」とした企業の割合が28.5%と、前年調査における2015年度の値(21.3%)を大きく上回り、2013年度以来、3年振りに4分の1を超える水準となりました。一方、「減額」とした企業の割合は9.7%と前年調査の結果(8.8%)から若干上昇したものの、一桁台にとどまりました。

    2017年度(2017年4月~2018年3月)に向けた見通しでは、「増額予定」が「減額予定」を大きく上回る傾向には変化がないものの、大幅な予算の増加(20%以上の増加)(20%以上の増加)を見込む企業の割合が減少しているほか、減額を見込む企業の割合が二桁台に達するなど、やや弱含みの様相となっています。

    なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数*1」で見ると、2016年度の実績値は「2.10」となり、前年調査時の予想値(1.42)を大きく上回って2013年度と同じ値となりました。2017年度の予想値は、2016年度の実績値を下回る「1.73」ですが、これは予想値としては2009年度以降では最高の水準であり、ITへの積極的な投資意欲は持続すると見られます。

    <参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2016~2017年度予想) <参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2016~2017年度予想)
    <参考資料2> IT投資増減指数の変化(2001~2017年度予想) <参考資料2> IT投資増減指数の変化(2001~2017年度予想)

    *1:20%以上の減少を-20、横ばいを0、10%未満の増加を+5、10%~20%未満の増加を+15などとして積み上げて回答数で除した値

  • さらに上昇した情報セキュリティ対策費用

    本調査では、IT予算に占める「情報セキュリティ対策」「災害対策」「内部統制」といったリスク対策費用の割合も定点観測していますが、今回の調査結果においても、その割合は引き続き上昇していることが示されました。なかでも情報セキュリティ対策費用は、過去最高を記録した前年調査からさらに1ポイント以上の上昇となる「16.4%」を記録しました。災害対策費用、IT内部統制向け費用の割合も、前年調査結果を上回っており、IT予算の増額分の一部がリスク対策に振り向けられている現象が浮き彫りとなっています。


    <参考資料3> IT予算額に対するリスク対策費用割合の経年変化(2012~2016年度) <参考資料3> IT予算額に対するリスク対策費用割合の経年変化(2012~2016年度)
  • 2017年度に重視するIT戦略キーワードでは、「イノベーション」「ワークスタイル革新」の順位が上昇

    次年度に最も重視するIT戦略キーワードを問うた結果では、上位6項目の順位は前年調査から変動がありませんが、「ビジネス・イノベーションの創出」がトップ10に食い込んだほか、「従業員のワークスタイル革新」が大きく順位を上げました。一部の企業において変革が重要なキーワードとして認識されていることがうかがえます。


    <参考資料4> 次年度に最重要視するIT戦略キーワード(2016~2017年度) <参考資料4> 次年度に最重要視するIT戦略キーワード(2016~2017年度)
  • グローバルITガバナンスは「海外主導型」へシフト

    全有効回答のうち、すでに海外に事業拠点を設置済みの企業は32.3%(858社)、準備中ないし検討中の企業を含めれば56.6%(1,503社)と半数を超えており、事業のグローバル化は着実に進展しています。今回の調査では、今後に向けて、そうした海外進出企業のITガバナンスの主導権が国内(本社)から海外へ移転する可能性が示唆されました。グローバルで利用されるITシステムの標準化のアプローチについて問うたところ、現在の取り組みとしては「日本の要求水準を全世界に展開する」との回答が最多でしたが、将来のあるべき姿については、「海外で標準とされる環境を日本を含めた全世界に展開する」との回答が大きく値を伸ばして最多となりました。今後、海外進出企業においては、グローバル・スタンダードがより重視されるものと見られます。


    <参考資料5> グローバル・システム標準化のアプローチ(現在/今後) <参考資料5> グローバル・システム標準化のアプローチ(現在/今後)
  • 製品/サービス分野では、「IoT」「AI/機械学習」への新規投資需要が拡大

    今回の調査では、製品/サービスの投資意欲を確認するために、全110項目について現在の導入状況と今後の投資意欲を問いました。その結果、モバイルやクラウド、データ・マネジメント、各種セキュリティ・ツールといった、近年の調査で高い投資意欲を示していた項目に加えて、「IoT/M2M」「AI/機械学習」の2項目が、幅広い業種において注目度を高めていることが明らかになりました。

    現在未導入の企業が、次年度(2017年度)に新たに投資対象とする可能性を示す「新規導入可能性指数」を算出して業種別に分析したところ、インフラ/デバイス分野では「IoT/M2M」が、OS/ミドルウェア分野では「AI/機械学習」が、いずれも複数の業種で最も高い指数を獲得しています。

    新分野のテクノロジに対して、国内企業が具体的な投資対象と認知し始めていることがうかがえる結果となりました。


    <参考資料6> 2017年度に新規投資が見込まれる製品/サービス分野(業種別) <参考資料6> 2017年度に新規投資が見込まれる製品/サービス分野(業種別)
  • 国内企業の攻めの意識の高まりが垣間見られた調査結果。IT部門はパラダイムシフトへの早急な準備を

    今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「近年、様子見の色彩が強かった国内企業のIT投資ですが、今回の調査では、一部の企業が攻めの姿勢に転じつつある現状が見てとれます。リーマンショックや東日本大震災による投資抑制トレンドからの反転という側面があった2013年度とは異なり、2016年度のIT予算の増額は、テクノロジによる新規ビジネスの創出・支援がより強く意識されていると見られます。また、話題が先行しがちであったIoTやAIといった新分野のテクノロジが、具体的な投資対象と位置づけられているのも大きな特徴です。経営とテクノロジの関係が新局面に入りつつある今、IT部門は、攻めのIT戦略を支えるためのパートナーとしての地位を早急に確立することが望まれます」と分析しています。


  • 調査の概要

    本調査は、ITRが2016年8月18日から9月3日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者、ならびにWeb調査の独自パネルメンバーのうち、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者約6,000人に対して、Web経由で回答を呼びかけました。その結果、2,685人から有効な回答を得ました。

    本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2017』としてITRのWebサイトを通じて先行予約販売を開始しております。同レポートの発刊は11月中旬を予定しています。


    レポートの詳細は、「国内IT投資動向調査2017」に掲載しています。

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