国内企業のIT投資意欲は増加基調を保ちつつも、成長率は鈍化
投資マインドは「攻め」よりも「守り」重視
― ITRが「IT投資動向調査2015」の結果を発表 ―

2014年12月3日
株式会社アイ・ティ・アール

株式会社アイ・ティ・アール(所在地:東京都新宿区、代表取締役:内山悟志、以下「ITR」)は本日、国内企業を対象に2014年10月に実施した国内IT投資動向調査の一部結果を発表いたします。2001年の調査開始から14回目を数える今回の調査では、国内企業のIT予算ならびに投資戦略が2014年度にどのような動きを見せたか、2015年度に向けてどのような方向へ進もうとしているかを定点観測しています。今回は、IT投資の目的や戦略性に関する意識や、IT部門の将来の役割について、新たな分析を追加しています。国内企業1,095社から有効回答を得ました。

  • 増加基調を保つも、IT予算の成長率は再び鈍化へ

    前年調査では、国内企業のIT予算の増減指数が“リーマンショック”前の水準を取り戻したことが確認されましたが、2014年度(2014年4月〜2015年3月)のIT予算は、増額(「20%以上の増加」と「20%未満の増加」の合計)と回答した企業の割合が23.1%にとどまり、2013年度(31.7%)を大きく下回りました。その一方で、減額(「20%以上の減少」と「20%未満の減少」の合計)と回答した企業の割合も前年度を下回り、その分「横ばい」とする企業が65%強を占める結果となりました。安定的に予算が確保できたものの、積極的に投資を行う企業が減り、模様眺めの色合いが濃い1年であったと見られます。

    2015年度(2015年4月〜2016年3月)に向けた見通しについては、成長率はさらに低下すると予想されており、増額を見込む企業の割合が若干減り、減額を見込む企業の割合が若干増える結果となっています。成長率は引き続きプラス水準を保つと予想されるものの投資意欲は弱含みの傾向にあると言えます。

    なお、このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数*1」で見ると、2014年度の実績値は前年調査時の予想とほぼ同水準の「1.46」となりました。ただし、2015年度の予想値は1ポイント台を割り込んでおり、再び低成長となることが想定されます。


    *120%以上の減少を-20、横ばいを0、20%未満の増加を+10などとして積み上げて回答数で除した値


    <参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2013〜2015年度予想) <参考資料1> IT予算額増減の経年変化(2013〜2015年度予想)
    <参考資料2> IT投資増減指数の変化(2001〜2015年度予想) <参考資料2> IT投資増減指数の変化(2001〜2015年度予想)
  • IT投資の目的は「守り」偏重

    今年の調査では、IT投資の目的や戦略性を見るために、新たな設問を設けました。IT投資の目的として11項目をあげ、それぞれについての重要度とともに、攻め/守りのいずれに近い目的かを問うたところ、多くの企業が「守り」に偏った目的でIT投資を行っているという実態が明らかになりました。

    半数以上の回答者が「攻め」と認識している項目は11項目中わずか3項目にとどまり、それらはいずれも重要度が低いグループに属しています。この結果からは、予算の確保や配分といった問題以前に、企業のIT投資戦略に関わる当事者が、投資案件によって生み出される価値を前向きに捉えていないことがうかがえます。

    また、このIT投資目的に対する意識は、企業の業績の好・不調とも密接に関連しており、「非常に好調」と認識する企業では、個々の目的を「攻め」と捉える度合いが強く、かつ重要度も高い傾向が顕著に見られます。


    <参考資料3> IT投資目的のポジショニング(2014年度) <参考資料3> IT投資目的のポジショニング(2014年度)
  • 2015年度に向けて最重要視するIT課題は5年連続で「IT基盤の統合・再構築」。一方で、新分野に対する具体的な取り組みも加速

    全20項目の主要なIT動向を取り上げ、その重要度を尋ねた結果では、「IT基盤の統合・再構築」が5年連続で最上位となり、2位も前年同様「ビジネスプロセスの可視化・最適化」となりました。3位の「全社ネットワーク環境の刷新・見直し」、4位の「全社的なコンテンツ管理インフラの整備」と併せて、多方面にわたる全体最適化が強く意識されていることが見てとれます。

    その一方で、クラウド、ビッグデータといった新分野と称されるIT動向についても、取り組みが着実に進んでいることが確認されました。こうした新技術を活かすための足回りを強化するために基盤整備が重視されているとも考えられます。


    <参考資料4> 主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化
    <参考資料5> 新分野のIT動向に関する実施状況の経年変化(2012〜2014年度)
  • IT部門の役割は将来に向けて縮小傾向か

    また、今回の調査では、社内のIT部門の役割に関する設問も新たに追加しました。IT部門の「現在の役割」と「3〜5年後に担うべき役割」をそれぞれ問うたところ、システム運用やコスト管理といった「従来型機能」は、今後に向けて役割が大きく縮小するとの見方が示されました。拡大する役割としては「ビジネスモデルの開発・改良」「ビジネス・イノベーションの促進」といった、ビジネス戦略と深く関わるテーマがあげられています。従来型機能の提供に甘んじるIT部門は、今後急速に活躍の場を失うことが懸念されます。


    <参考資料6> IT部門の役割(現在/今後) <参考資料6> IT部門の役割(現在/今後)
  • 攻めの投資戦略が描けていないIT部門。自らの立ち位置も含めた大胆な改革を

    今回の調査結果を受けて、ITRのシニア・アナリスト舘野真人は、「2014年度のIT予算の増減はプラス水準となったものの、久々に大幅な回復となった前年度から成長率が鈍化し、再び低成長に向かう兆しが見えています。また、情報セキュリティ対策などのリスク対策費用が増加するなど、守りを重視した支出の増加が目立ちました。また、今回の調査からは、将来のビジネスの足がかりとなるような攻めの投資戦略を描けないIT部門の悩みの深さも見てとれました。技術が変革期を迎えているなかで、IT部門には自らの役割や立ち位置も含めた大胆な変革が求められています」と分析しています。

  • 調査の概要

    本調査は、ITRが2014年10月15日から10月31日にかけて実施したもので、ITRの顧客企業や主催セミナーへの出席者、ならびにWeb調査の独自パネルメンバーのうち、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者3,500人に対して、アンケート用紙による記入もしくはWeb経由で回答を受け付けました。その結果、1,095人から有効な回答を得ました。

    本調査結果の全結果および分析は、『国内IT投資動向調査報告書2015』としてITRのWebサイトを通じて先行予約販売を開始しております。同レポートの発刊は12月中旬を予定しています。

    レポートの詳細は、「国内IT投資動向調査2015」に掲載しています。

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